くも状血管腫

(特発性毛細血管拡張症)

執筆者:James D. Douketis, MD, McMaster University
レビュー/改訂 2023年 12月
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くも状血管腫は、細い静脈が拡張して皮膚の上から透けて見えるようになったものです。

静脈系の概要も参照のこと。)

くも状血管腫の外観
脚のくも状血管腫
脚のくも状血管腫

くも状血管腫(毛細血管拡張症とも呼ばれます)は、細い静脈が拡張して皮膚の上から透けて見えるようになったものです。

Photo courtesy of Robert S.Porter, MD.

顔面のくも状血管腫
顔面のくも状血管腫

くも状血管腫(毛細血管拡張症とも呼ばれます)は、細い静脈が拡張して皮膚の上から透けて見えるようになったものです。

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多くの人には、毛細血管が拡張したものであるくも状血管腫もみられます。毛細血管は、心臓から全身に血液を送る動脈と全身から心臓に血液を戻す静脈との間をつないでいる、極めて薄い壁でできた非常に細い血管です。

脚のくも状血管腫は、静脈瘤の中の血液による圧迫が原因であることがありますが、静脈瘤がない人にくも状血管腫がみられることもあります。静脈瘤がない人にくも状血管腫がみられる場合は、通常は未解明のホルモンが原因と考えられます。ホルモンが原因だとすれば、くも状血管腫がみられるのがほとんど女性で、特に妊娠中に多くなることが説明できます。

くも状血管腫は通常は症状を引き起こしませんが、 痛みや灼熱感が生じることもあります。くも状血管腫は外見から診断でき、検査は不要です。

くも状血管腫の治療

  • 注入療法(硬化療法)

  • レーザー治療

くも状血管腫は通常、静脈瘤に対する治療と同様の注入療法(硬化療法)によって除去することができます。硬化療法では、テトラデシル硫酸ナトリウムなどの溶液をそれぞれの拡張血管に注入します。この溶液でくも状血管腫を刺激することで、血栓を形成させ、その血栓で静脈を閉塞させます。広範囲のくも状血管腫(多発性毛細血管拡張症)では、注入に痛みを伴うため、複数回の治療が必要になることもあります。皮膚は暗い色になることがありますが、通常この変色は治っていき、しばしば完全に消失します。

レーザー治療も効果的ですが、広範囲に行う場合は複数回の治療が必要です。この治療法では、レーザー光線を用いて細い静脈を破壊します。

最初の治療の後には、小さなくも状血管腫が残ったり、再発したりすることがあります。

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