終末期の経済的問題

執筆者:Elizabeth L. Cobbs, MD, George Washington University;
Karen Blackstone, MD, George Washington University;Joanne Lynn, MD, MA, MS, The George Washington University Medical Center
レビュー/改訂 2021年 10月
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    死に至る病気は、多くの場合、進行性の身体障害を伴います。患者は次第に、家やアパートの手入れ、食事の支度、家計の処理、歩行、自分の身支度などができなくなります。死期の患者のほとんどは、亡くなる前の数週間に介助が必要になり、それがより長い期間に及ぶこともしばしばです。こうした身体障害に対しては、車いすでも出入りしやすく、介護する家族に近い住居を選ぶなどして、先手を打っておきましょう。作業療法や理学療法、在宅看護などのサービスを利用すれば、障害が進行しても自宅にいられるかもしれません。

    障害や病気は家族の経済状況を圧迫することがあります。死期の家族をケアしている間に、蓄えを使い果たしてしまう家族は少なくありません。メディケアは、介護施設での長期ケアや自宅への訪問看護など、死期の患者が必要とするサービスの多くを保障の対象外としています。ホスピスプログラムで提供されるサービスは例外で、実に総合的です。しかしながら、多くの人には、正式なホスピスケアの資格を満たさない期間にも、重大なニーズがあります。

    家族は、重病の患者が受けるケアの費用を調べておく必要があります。保険の対象範囲と制約についての情報を得るには、かなり入念な調査が必要になります。まずは、医師やケアチームに相談するか、エルダーケア・ロケーター(Eldercare Locator)にアクセスする、もしくは1-800-677-1116に電話する(米国のみ)、または病院や医療保険のソーシャルワーカーに相談することから始めるとよいでしょう。

    家族が終末期のケアを行えば費用はかかりませんが、プロの介護者を雇うことで家族の負担がどの程度軽くなるかも検討するとよいでしょう。薬、在宅ケア、交通費などの出費と同様に、仕事をやめることによる損失もあるからです。家族は費用について医師とオープンに話し合い、費用が気になっていることを伝え、前もって計画を立てて費用の上限を決めたり実際に準備したりします。

    死期を迎えた患者の遺産計画を立てるのは賢明な考えです。死期が迫っているときに財産や資産のことを話し合うのは気が引けるかもしれませんが、基本的によい考えです。話し合うことにより、患者が契約や手配を行っていた事柄が明らかになる場合が多く、家族の負担も減ります。経済的または法的な問題への対処について、高齢者医療の分野を専門としている弁護士の助けを得ることもできます。

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