代謝とは何ですか?
食べたものを体が分解し、単純な化学物質にして体をつくる材料をつくります。そして、体はこれらの材料を使って、体が成長したり体を修復したりするために必要なほかの物質をつくります。この過程を代謝といいます。
代謝を担うのは酵素とよばれる化学物質です。酵素は体内の細胞によってつくられます。体では数千ものいろいろな酵素がつくられています。それぞれの酵素は、特定の化学反応(特定の物質を分解するか、それをつくる)だけを行います。
遺伝性代謝疾患とは何ですか?
代謝疾患は、代謝に必要な酵素の1つを体が十分につくれないことで起こります。これはふつう、その酵素をつくるための遺伝子の異常を、親から受けついでいるために起こります。酵素が十分につくられないと、その酵素の役割に応じて問題が起こります。
もしその酵素がある化学物質を分解する役割をもっていたら、その物質が体内にたまります。
その酵素がある化学物質をつくる役割をもっていたら、体にはその物質が十分にありません。また、その酵素がないために、その化学物質をつくるために酵素がつかうはずの材料も、体の中にたまります。
ほとんどどの化学物質でも、量が少なすぎたり多すぎたりすると、体の機能に問題を引き起こす可能性があります。
遺伝性代謝疾患には何百という種類がありますが、ほとんどはまれにしか起こりません。
それが遺伝していない限り、その遺伝性代謝疾患にはかかりません。
症状がでるとすれば、生まれたときか、乳児期の遅い段階です。
赤ちゃんはとても具合が悪くなったり、死んでしまったりすることがあります。
両親の家族のだれかが遺伝性代謝疾患にかかっている場合、医師は妊娠中に遺伝性代謝障害がないか確かめるための検査をします。
すべての赤ちゃんには、特定の遺伝性代謝疾患の検査が行われます。
遺伝性代謝疾患の原因は何ですか?
それぞれの酵素をつくるための遺伝子は2つあって、両親から1つずつ受けつぎます。遺伝性代謝疾患にかかるのは、両親から1つずつ受け継いだ遺伝子の両方に異常があるときだけです。これは、両親から受け継いだ遺伝子の1つが正常であれば、病気にならないだけの十分な酵素を作ることができるからです。
遺伝性代謝疾患にはどのような症状がありますか?
代謝疾患には数百もの種類があり、その症状もさまざまです。ただし、多くの場合、赤ちゃんには次のような症状がみられます:
ミルクをあまり飲まない
何回も吐く
弱々しく疲れているように見える
けいれん発作を起こす
乳児期の後のほうになると、赤ちゃんには正常な成長と発達がみられないことがあります。
医師はどのようにして、私の子どもが遺伝性代謝疾患かどうかを判断しますか?
医師は、遺伝性代謝疾患のための検査を、次のようないろいろなタイミングで行います:
赤ちゃんが生まれる前(出生前検査)
赤ちゃんが生まれたあとすぐ(新生児スクリーニング検査)
乳児期
出生前検査では、次のような遺伝性疾患の検査を行います:
新生児スクリーニング検査では、あなたの赤ちゃんの血液をほんの少し採取して、遺伝性代謝疾患がないかの検査を行います。
医師がお子さんを診察しているときに病気が疑われることがあります。その場合は、次の検査が行われます:
血液検査
尿検査
もしこれらの検査で、遺伝性代謝疾患の何らかの徴候がみつかったら、医師はほかの検査を行います。行われる検査には、遺伝子検査と、場合によっては生検があります。生検では、医師はあなたのお子さんの組織をほんの少しとって、顕微鏡で調べます。
医師は遺伝性代謝疾患をどのように治療しますか?
治療法は疾患の種類によって異なります。多くの代謝疾患には特定の治療法がありません。医師はあなたのお子さんを次の方法で治療することがあります:
特別な食事
薬
骨髄移植または幹細胞移植
血液中にたまった物質を取り除くための透析
ビタミンのサプリメント