鉛は、一部の水道管、古いペンキ(アメリカでは1978年より前のもの)、一部の陶器の釉薬、弾丸、一部の電池などに含まれる金属です。
「鉛」筆には鉛は入っていないので、毒はありません。車のガソリンには今では鉛は含まれていません。ガソリンが「無鉛ガソリン」といわれるのはこのためです。
鉛中毒とは何ですか?
鉛中毒は、鉛があなたの体の中にたまっていくにつれてゆっくりとおこります。
鉛中毒はおもに脳に影響を与えます。
赤ちゃんや小さな子どもは、脳がまだ発達している途中であるため、最も危険です。
鉛中毒は、子どもの思考や学習に一生続く問題を引き起こすことがあります。
古い家では、はがれたペンキを直して表面をきれいな状態に保ち、子どもが鉛を含むペンキの粉じんを食べたり吸いこんだりしないようにしましょう。
あなたやあなたのお子さんが鉛にさらされたかもしれない場合は、血液検査を受けることについて医師に相談してください。
鉛を含むペンキを使っているかもしれない古い家(アメリカでは1978年より前に建てられたもの)に住んでいる子どもは、症状がなくても鉛中毒の検査を受ける必要があります。
地域の保健局または中毒情報センター(アメリカでは1-800-222-1222【訳注:日本では(公財)日本中毒情報センターが電話による無料情報サービスを提供しています。大阪072-727-2499、つくば029-852-9999、https://www.j-poison-ic.jp】)に電話してアドバイスを受けてください。世界保健機関(WHO)は、世界の中毒情報センターの連絡先を提供しています。
鉛中毒にはどのようにしてなりますか?
次のような原因で鉛中毒になることがあります:
鉛を含む古いペンキの粉じんや破片
鉛をあつかう工場で働くこと
水道の水が鉛でできたパイプを通って来ている
鉛を含む釉薬が使われた陶器の水差し、コップ、皿を使う
小さな子どもは、ペンキの破片を口の中に入れてしまうことがあります。古いペンキの粉じんは、家中にちらばることがあります。ペンキの粉じんがついたところにふれたり、粉じんが口に入ってしまったり、食べようとしているものについてしまったりすることは、だれにでもありえます。目に見えるほど粉じんがなくても、時間がたつにつれて影響が出ることがあります。
道路から家の中に水を引き込むために、鉛のパイプを使っている都市はまだたくさんあります。家の中の水道管は鉛でできていません。もし家の水が鉛のパイプを通って来ていて、ふつうより水の酸性度が高いなら、その酸でパイプの鉛が水に溶けだしてしまうことがあります。
酸性の食べものや飲みもの(トマトやオレンジジュースなど)によって、一部の陶器の釉薬から鉛が溶けだすことがあります。米国製の陶器には鉛は含まれていません。米国以外で作られた陶器には鉛は含まれているかもしれません。
弾丸には鉛が含まれています。銃でうたれて弾丸が体の中にある場合、ふつうは鉛の量が少なすぎて中毒は起こりません。
鉛中毒にはどのような症状がありますか?
症状は、体の中にある鉛の量と、鉛がたまった速さによってちがいます。軽い鉛中毒では、多くの場合、症状はありません。症状はたいてい、数週間かそれ以上の時間をかけてゆっくりと現れます。
子ども
子どもに最初に現れる症状は次のものです:
注意力の続く時間が短くなる
ふだんより遊びたがらない
不機嫌になる
重い鉛中毒では、脳が損傷を受けている徴候が子どもに現れます。次のような症状が現れることがあります:
嘔吐
動きがぎこちなくなる、歩くのが難しくなる
眠気と混乱
重い中毒では、子どもにけいれん発作が起こり、昏睡状態になってしまいます。
鉛中毒に対する治療を受けていない子どもでは、時間がたつにつれて、次のような症状が現れることがあります:
知能が低くなる、学習が難しくなる、攻撃的な行動
けいれん発作
長く続く腹痛
貧血(赤血球の数が少なくなった状態)
大人
鉛中毒の大人には次のような症状が現れることがあります:
性格、気分、または行動が変わる
頭痛
しびれ、力が入らない、歩くのが難しくなる
口の中に金属の味がする
腹痛、嘔吐、便秘
貧血
医師はどのようにして、私が鉛中毒かどうかを判断しますか?
医師は、あなたの症状から鉛中毒ではないかと疑います。医師はあなたの血液に含まれる鉛の量を検査します。
あなたが鉛中毒かもしれないと思ったら、血液を調べてもらうようにたのんでください。
医師は鉛中毒をどのように治療しますか?
医師は次のことをします:
鉛と結合させる薬を与えて、尿とともに鉛が体から出ていくようにする
軽い中毒では、薬を口から飲みます。重い中毒では、薬を静脈から注射します。鉛を取り除く薬は、大事なミネラルも取り除いてしまうことがあります。そのようなミネラルを補うために、サプリメントを飲まなければいけないこともあります。
治療しても、子どもの脳や腎臓に損傷が長く残ることがあります。
鉛中毒はどうすれば予防できますか?
あなたの使っている水が鉛のパイプから来ているかもしれない場合は、次のことをしてください:
水に含まれる鉛を検査するキットを買う
フィルターを使って飲み水から鉛の大部分を取り除く
あなたの家に鉛を含むペンキが使われているかもしれない場合は、次のことをしてください:
ひび割れたりはがれたりしているペンキをすぐに取り除く
子どものおもちゃやおしゃぶりを定期的に洗う
定期的に掃除し、1週間に1度は窓の下枠のほこりをぬれた雑巾でふく
鉛の粉じんを吸いこまないよう、リフォームは専門家にたのむ
あなたが仕事で鉛をあつかう場合は、次のことをしてください:
防護服を着る
家に帰る前に、服とくつを替える
寝る前にシャワーを浴びる