不妊症ふにんしょう

不妊症ふにんしょうとは、1年ねん以上いじょう妊娠にんしんを試こころみても妊娠にんしんすることができない状態じょうたいです。

ほとんどのカップルでは、避妊ひにんせずに頻繁ひんぱんに性交せいこうをすると、1年ねん以内いないに妊娠にんしんします。およそ半分はんぶんのカップルでは、最初さいしょの3カ月げつ以内いないに妊娠にんしんします。

• 妊娠にんしんできない原因げんいんは、男おとこの人ひと、女おんなの人ひと、または両方りょうほうにあることもあります。

• 女おんなの人ひとでは、卵巣らんそうから卵子らんしが放出ほうしゅつされていなかったり、子宮しきゅうにつながる管くだを卵子らんしが通とおり抜ぬけられなかったりすることがあります。

• 男おとこの人ひとでは、精子せいしをつくるのに問題もんだいがあったり、陰茎いんけいにつながる管くだを精子せいしが通とおりぬけられなかったりすることがあります。

• 医師いしは不妊症ふにんしょうの原因げんいんを調しらべるために検査けんさをします。

• 妊娠にんしんする可能性かのうせいを最もっとも高たかくするには、カップルは排卵はいらんの直前ちょくぜんの3日間かかんに性交せいこうをするとよいでしょう。

• ちょうどいいタイミングで性交せいこうをしても上手うまくいかない場合ばあいは、女おんなの人ひとが妊娠にんしんできるように助たすける薬くすりや医療いりょうの技術ぎじゅつがあります。

女性じょせいの内性器ないせいきの位置いち

排卵はいらんとは、女おんなの人ひとの卵巣らんそうから卵子らんしが放出ほうしゅつされることです。

ふつう、女おんなの人ひとには1回かいの月経げっけいと次つぎの月経げっけいまでの中間ちゅうかんで排卵はいらんがみられます。たとえば、あなたの月経周期げっけいしゅうきが28日にち（ある月経げっけいの最初さいしょの日ひからその次つぎの月経げっけいの最初さいしょの日ひまでを数かぞえる）なら、ふつうは14日か目めごろに排卵はいらんがあります。

排卵はいらんの前まえの3日間かかんに頻繁ひんぱんに性交せいこうをすると、妊娠にんしんする可能性かのうせいが最もっとも高たかくなります。このときが、卵子らんしが精子せいしにさらされる可能性かのうせいが最もっとも高たかいときです。

自分じぶんにいつ排卵はいらんがあるのかを知しりたければ、日ひにちを数かぞえるよりもよい方法ほうほうがあります。次つぎのような方法ほうほうが正確せいかくです：

• 体温たいおんをはかる

• 排卵はいらん検査薬けんさやくを使つかう

体温たいおん：毎朝まいあさ同おなじ時刻じこくに、ベッドから出でる前まえに体温たいおんをはかります。その体温たいおんが、あなたの基礎体温きそたいおんです。この体温たいおんは、排卵はいらんの何日なんにちか前まえから少すこし低ひくくなります。そして排卵はいらんがあると体温たいおんが上あがり、次つぎの月経げっけいまで高たかいままになります。

基礎体温

画像

排卵はいらん検査薬けんさやく：排卵はいらん検査薬けんさやくは薬局やっきょくで買かうことができます。この検査薬けんさやくで尿にょうを検査けんさし、排卵はいらんがある直前ちょくぜんに増ふえるホルモンを調しらべます。このような検査薬けんさやくは体温たいおんをはかる方法ほうほうよりも正確せいかくです。

女おんなの人ひとの不妊症ふにんしょうの最もっとも多おおい原因げんいんは、次つぎのものです：

• 排卵はいらんがない―卵巣らんそうから毎月まいつき卵子らんしが放出ほうしゅつされていないことがある

• 卵管らんかん（卵巣らんそうから子宮しきゅうに卵子らんしを送おくるための管くだ）がつまっていたり、ダメージがあったりする

• 腹部ふくぶや子宮しきゅうに問題もんだいがある

排卵はいらんがないことには、さまざまな原因げんいんが考かんがえられます。たとえば、ホルモンの問題もんだいや、多嚢胞性卵巣たのうほうせいらんそう、摂食障害せっしょくしょうがい、早はやい閉経へいけい、運動うんどうしすぎていること、一部いちぶの薬くすりを使つかっていることなどが原因げんいんかもしれません。

卵管らんかんがつまっていると、精子せいしが卵子らんしにたどりつけなかったり、受精卵じゅせいらんが子宮しきゅうに入はいれなかったりします。瘢痕組織はんこんそしきによって管くだがつまることもあります。瘢痕組織はんこんそしきは骨盤内炎症性疾患こつばんないえんしょうせいしっかんのような感染症かんせんしょう、虫垂ちゅうすいの破裂はれつ、卵管らんかんで妊娠にんしんしたこと（異所性妊娠いしょせいにんしん）でできることがあります。

腹部ふくぶや子宮しきゅうの病気びょうきがあると、卵子らんしが卵管らんかんに入はいれなかったり、受精卵じゅせいらんが子宮しきゅうに着床ちゃくしょうできなかったりすることがあります。腹部ふくぶや子宮しきゅうの病気びょうきには、前まえに受うけた手術しゅじゅつでできた瘢痕組織はんこんそしき、生うまれつきの子宮しきゅうの異常いじょう、子宮内膜症しきゅうないまくしょうや子宮筋腫しきゅうきんしゅのように組織そしきが異常いじょうに増ふえることなどがあります。

女おんなの人ひとが妊娠にんしんしにくくなるほかの原因げんいんとしては、加齢かれい、糖尿病とうにょうびょうにかかっている、体重たいじゅうが重おもすぎる、コーヒーをたくさん飲のむ（1日にちに5～6杯ぱい以上いじょう）、タバコを吸すうなどがあります。

男おとこの人ひとの不妊症ふにんしょうの最もっとも多おおい原因げんいんは、次つぎのものです：

• 精子せいしの数かずが少すくない、または精子せいしの動うごきが遅おそい

• 精巣せいそうから陰茎いんけいに精子せいしが移動いどうするときに問題もんだいがある

精子せいしの数かずが少すくないことには、さまざまな原因げんいんが考かんがえられます。ホルモンの問題もんだいや、精巣せいそうが熱あつすぎること、ムンプスのような感染症かんせんしょう、停留精巣ていりゅうせいそう、精巣せいそうの静脈瘤じょうみゃくりゅうなどが原因げんいんかもしれません。さまざまな薬くすり、化学療法かがくりょうほう、放射線療法ほうしゃせんりょうほうなどの一部いちぶの治療ちりょうは、精子せいしの数かずに影響えいきょうをおよぼします。お酒さけを飲のみすぎることやマリファナを使つかうことでも、精子せいしの数かずが少すくなくなります。

精巣せいそうから陰茎いんけいに精子せいしが移動いどうするときの問題もんだいは、前まえに受うけた手術しゅじゅつや一部いちぶの生うまれつきの異常いじょうによって精子せいしの通とおり道みちがつまったり、傷きずついたりたりすることで起おこることがあります。糖尿病とうにょうびょうや神経しんけいの病気びょうきも、精子せいしが精巣せいそうから陰茎いんけいにどのように移動いどうしていくかに影響えいきょうをおよぼします。

カップルが妊娠にんしんできない理由りゆうが医師いしに分わからないこともあります。

1年間ねんかん、妊娠にんしんしようとしても成功せいこうしなかった場合ばあい、医師いしはあなたとパートナーの両方りょうほうを診察しんさつします。

女おんなの人ひとが次つぎのことに当あてはまる場合ばあいには、もっと早はやく診察しんさつをします：

• 35才さい以上いじょうで、6カ月間げつかん以上いじょう妊娠にんしんしようとしてきた

• 月経げっけいが規則的きそくてきではない、または月経時げっけいじに強つよい痛いたみがある

• 子宮しきゅう、卵管らんかん、または卵巣らんそうに異常いじょうがあることが分わかっている

医師いしは次つぎのような検査けんさをする可能性かのうせいがあります：

• 血液検査けつえきけんさ（ホルモンの検査けんさを含ふくむ）

• 女おんなの人ひとの子宮しきゅうと卵管らんかんや男おとこの人ひとの生殖器せいしょくきのX線検査せんけんさ、超ちょう音波検査おんぱけんさ、その他たの画像検査がぞうけんさ

• 女おんなの人ひとでは体からだの中なかを見みるための管くだ（内視鏡ないしきょう）を使つかって骨盤こつばんの中なかや子宮しきゅうの中なかを観察かんさつする

• 男おとこの人ひとでは精子せいしの数かずを調しらべ、顕微鏡けんびきょうで精子せいしを観察かんさつして形かたちや動うごきが正常せいじょうかどうかを調しらべる

• ときに、遺伝子検査いでんしけんさを行おこなう

医師いしは、もし不妊症ふにんしょうの原因げんいんが分わかっていればそれを治療ちりょうします。医師いしはカップルに、タバコをやめ、お酒さけを飲のみすぎないようにし、体重たいじゅうに気きをつけ、定期的ていきてきに運動うんどうするようにアドバイスします。

医師いしが不妊症ふにんしょうの原因げんいんをつきとめられないこともあります。しかし医師いしは、妊娠にんしんする可能性かのうせいや、早はやく妊娠にんしんする可能性かのうせいを高たかくするために治療ちりょうをすることができます。

医師いしは次つぎのことをする場合ばあいがあります：

• 卵巣らんそうを刺激しげきして卵子らんしを放出ほうしゅつさせる薬くすりを女おんなの人ひとに出だす

• 子宮内しきゅうない精子せいし注入ちゅうにゅう（最もっとも活発かっぱつな精子せいしをえらび、注射器ちゅうしゃきを使つかって子宮しきゅうの中なかに精子せいしを入いれる処置しょち）をする

• 卵管らんかんのつまりやその他たの問題もんだいを治療ちりょうするための手術しゅじゅつをする

医師いしが生殖補助医療せいしょくほじょいりょうをすすめることもあります。これらの方法ほうほうでは、ラボで女おんなの人ひとの卵子らんしを男おとこの人ひとの精子せいしと受精じゅせいさせ、1つまたはいくつか胚はいをつくります。ラボで卵子らんしを受精じゅせいさせることを体外受精たいがいじゅせいといいます。その後ご、その胚はいを女おんなの人ひとの子宮しきゅうの中なかに入いれます。

このような治療ちりょうは、必かならずうまくいくとは限かぎりません。カップルは妊娠にんしんするかわりに養子縁組ようしえんぐみを考かんがえたいと思おもうかもしれません。

不妊症ふにんしょうの治療ちりょうは大おおきなストレスになることがあります。あなたはいらだちを感かんじたり、取とり乱みだしたり、罪悪感ざいあくかんを覚おぼえたりするかもしれません。そのためにあなたとパートナーの関係かんけいが損そこなわれてしまうかもしれません。また不妊治療ふにんちりょうにはたくさんのお金かねもかかり、長ながい時間じかんがかかります。このストレスのせいで不安ふあんになったり、睡眠すいみんや食事しょくじの問題もんだいが起おこったり、生活せいかつや仕事しごとが妨さまたげられたりするかもしれません。これはふつうのことです。カウンセリングやサポートグループが役立やくだつかもしれません。

• 全国ぜんこく不妊症ふにんしょう協会きょうかい（RESOLVE: The National Infertility Association）

• 親おやになるということ（Path2Parenthood）