双極性障害とはどのような病気ですか?
双極性障害は、うつ病の期間と躁病の期間がある精神障害です。
うつ病とは、ひどく落ちこんでしまうために、日常生活ができなくなったり、ふだん楽しんでいた活動をしたくなくなったりする状態です。
躁病とは、元気と自信が異常なまでに高まり、気が散りやすくなり、危険な判断をしてしまう状態です。
双極性障害はふつう、10代、20代、30代のときに始まります。
双極性障害は、なりやすい体質が家族の中で受けつがれると考えられています。
うつ病の期間でも躁病の期間でもないときは、ほぼ正常な気分でいられます。
医師は、薬と精神療法で双極性障害を治療します。
双極性障害には、双極1型障害と双極2型障害という2つのタイプがあります。
もしあなたが双極1型障害なら、次のようになります:
ふだんの生活を送るのが難しくなり、妄想(何が本当のことか分からなくなること)が起きることのある躁病の期間が、少なくとも1回はある
ふつうは、うつ病の期間が複数回ある
もしあなたが双極2型障害なら、次のようになります:
あまり重くない躁病(軽躁病)の期間が少なくとも1回はある
重いうつ病の期間が複数回ある
双極性障害の原因は何ですか?
双極性障害の正確な原因は、医師たちにも分かっていません。遺伝子(親や祖父母から受けついだ遺伝情報)が関係している可能性があります。
躁病の期間(躁病エピソード)は、次のものがきっかけで始まることがあります:
体内の特定の化学物質(神経伝達物質)の量が多くなったり、少なくなったりする(神経伝達物質とは、神経の細胞が脳や体の中で指示を送るために使用される、セロトニンやノルアドレナリンなどの化学物質のことです)
脳腫瘍やそのほかの脳の病気
ストレスになる出来事
コカインなどの薬物
甲状腺の異常など、そのほかの健康上の問題
双極性障害にはどのような症状がありますか?
うつ病や躁病の期間(エピソード)が、始まっては終わるをくり返します。エピソードとエピソードの間は、正常な気分で過ごせることもあります。うつ病と躁病のエピソードは、数週間から最長6カ月間、続くことがあります。
うつ病の症状:
とても悲しい気分になる
ものごとに興味がもてず、それまで楽しめていた活動にすら興味を失う
考えるのや、動くのが遅くなる
絶望感や罪悪感
眠っている時間が長くなる
現実には存在しないものが見える
躁病の症状:
自信がとても強くなり、自分が一番の存在だと思うようになる
元気にあふれる
簡単にイライラする
眠っている時間が短くなる
ふだんよりよく話すようになる
気が散りやすくなり、やることを次々と変えてしまう
ギャンブルや性行為など、リスクのある行動を、どんな影響があるか考えずにしてしまう
ときには、現実には存在しないものが見えたり聞こえたりする
重い躁病(躁病性精神病)がある人には、次のような症状が起きることがあります:
自分は特別な存在(キリストや天才など)だと思いこむ
自分は警察組織に監視されているなど、だれかに追われていると思いこむ
走り回ったり、さけび声を上げたり、歌を歌ったりするなど、極端な行動をする
道理に合わない考えや行動をする
重い躁病の人は、すぐに病院に行く必要があります。
医師はどのようにして、私が双極性障害かどうかを判断しますか?
医師は、あなたの症状のパターンから双極性障害を診断します。もしあなたが躁病だとしたら、躁病になった人は何も悪いところはないと思うものなので、あなたは医師に自分の症状を正確に伝えられないかもしれません。そのため医師は、家族から情報を得ようとすることがあります。
医師は、出ている症状を引き起こすことがあるほかの病気がないか確かめるために、血液や尿の検査をする場合もあります。
医師は双極性障害をどのように治療しますか?
医師は次のことをする場合があります:
リチウムやバルプロ酸などの薬を処方する
グループまたは個人でのカウンセリングをする(精神療法)
薬でうつ病がよくならない場合は、電気けいれん療法(以前はショック療法と呼ばれていました)をする
電気けいれん療法では、医師が薬を使ってあなたを眠らせ、それから、あなたの脳に電流を流します。その理由は医師たちもよく知らないのですが、電流を流すことが、うつ病の解消に役立つことがよくあります。
重い躁病やうつ病がある場合や、深刻な問題につながる可能性のあるリスクがある場合には、医師は治療のために、あなたを入院させることがあります。