薬に対する反応の概要

執筆者:Shalini S. Lynch, PharmD, University of California San Francisco School of Pharmacy
レビュー/改訂 2022年 7月
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    薬に対する反応は人によって異なります。人がどのようにある薬に反応するかは多くの要因に左右されます。例えば以下のような要因があります。

    • 遺伝的素因

    • 年齢

    • 体の大きさ

    • 他の薬や栄養補助食品(薬用ハーブなど)

    • 食事の内容(飲みものを含む)

    • 病気の有無(腎臓や肝臓の病気の有無)

    • 薬の保管状況(使用期限が切れていたり、適切でない環境で保管されていたなど)

    • 耐性(Toleranceと Resistance)の発現

    薬を指示通りに服用するかどうかも(アドヒアランス)、その人の薬に対する反応に影響します。このような、薬に対する反応に影響する因子は、体が薬を吸収する仕組みや、体が薬を分解(代謝)し、排泄する仕組み、あるいは、薬が体に及ぼす作用に影響します。

    薬に対する反応に影響を及ぼす因子は非常に多いため、医師はそれぞれの患者に合った薬を選び、投与量を注意深く調整する必要があります。すでに他の薬を服用している患者や、他の病気にかかっている患者では、そうでない患者と比べて、薬の選択や投与量の調整が複雑になります。薬同士の相互作用や薬と病気の相互作用が起こる可能性があるからです。

    それぞれの新薬には、標準投与量または平均投与量が決められています。しかし、平均投与量は衣服の「フリーサイズ」のようなもので、様々な人々に対して一応満足できる程度には合いますが、ぴったり合う人はほとんどいません。ただし、一部の薬は、同じ投与量でほぼすべての人によく効くため、投与量を調整する必要がありません。

    薬に対する反応への年齢の影響

    乳児や高齢者は、薬に対する反応に特に問題が生じやすいといえます。乳児や高齢者の肝臓や腎臓は機能が低いため、肝臓で分解されたり腎臓から排泄される薬が体内に蓄積する傾向があり、問題が生じることがあるからです。

    特に高齢者は、小児や若い成人と比べて多くの病気を抱えているために、多くの薬を使用するのが普通です(加齢と薬を参照)。服用している薬が多いほど、他の薬や病気への干渉による問題が起こりやすくなります。また、加齢に伴って、決まった時間に服薬したり、特定の食べものを控えるなどといった複雑な指示を守ることが難しくなります。

    薬に対する反応に影響する様々な因子

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