高齢患者に対するがんスクリーニング*の推奨度

検出対象のがん

検査

頻度

備考†

乳癌

マンモグラフィー

2年毎

50~74歳の女性:USPSTF推奨度B

40~49歳の女性:潜在的な便益と害の評価に基づく個別のスクリーニング決定:USPSTF推奨度C

75歳以上の女性:USPSTF推奨度I

健康状態が良好で期待余命が10年を超える場合は,スクリーニングを継続することがACSにより推奨されている

子宮頸癌または子宮体がん

パパニコロウ(Pap)検査(新しい方法についてはエビデンスが不十分である)

以下のいずれか:

  • Pap検査を少なくとも3年毎

  • 高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査のみを5年毎

  • hrHPV検査およびPap検査を5年毎

65歳以上の女性:最近実施された十分なスクリーニングの結果が正常であり,高リスク例でない場合は,USPSTFのスクリーニングに対する推奨度D

子宮全摘出術の既往があり,悪性度の高い前がん病変またはがんの既往がない場合:USPSTFのPap検査実施に対する推奨度D

65歳以上の女性:子宮頸部変化の既往がなく,かつ以下のいずれかに該当する場合,ACOGはスクリーニングを中止するよう提唱している:

  • 3回連続でPap検査の結果が陰性

  • 2回連続でHPV検査の結果が陰性

  • 併用検査(Pap検査とHPV検査)の結果が過去10年以内で2回陰性であり,過去3~5年以内に直近の検査を実施した

大腸癌

スクリーニング検査(FOBT/FIT,S状結腸内視鏡検査,大腸内視鏡検査)

50~75歳の成人:USPSTF推奨度A

45~49歳の成人:USPSTF推奨度B

76~85歳の成人:ルーチンの選択的スクリーニングに対するUSPSTF推奨度C(過去にスクリーニングを受けた人においてはスクリーニングの純便益が非常に少ないことが挙げられる)(患者の全体的な健康状態およびスクリーニング歴を考慮に入れて個別化されるべきである)

85歳以上:スクリーニングを中止する(USPSTFガイドラインでは,大半の組織が85歳以上のスクリーニングの中止を推奨すると記載されている)

gFOBT

FIT

FIT-MT-sDNA

gFOBTおよびFIT:年1回

FIT-MT-sDNA:1~3年毎

S状結腸内視鏡検査

5年毎

S状結腸鏡検査をFITと併用する場合は,10年毎に実施し,加えてFITは毎年実施するようUSPSTFは推奨している

大腸内視鏡検査

10年毎

USPSTF推奨

CTコロノグラフィー

5年毎

USPSTF推奨

肺癌

低線量CT

毎年

50~80歳で,20 pack-year以上の喫煙歴があり,現在も喫煙中であるか,禁煙してから15年未満の患者:USPSTF推奨度B

前立腺癌

PSA測定

DRE

個別に決定

55~69歳の男性:害と便益の個別評価に基づくPSAスクリーニング(USPSTF推奨度C)

70歳以上の男性:USPSTFのPSAスクリーニングに対する推奨度D

* がんスクリーニングは慎重に考慮し,個別のリスクと便益を検討すべきである(特に期待余命が10年以下の患者の場合)。推奨は専門家団体によってわずかに異なる。

† 表中の推奨は主にUSPSTFに依拠するものであり,ときにCDCおよびその他の機関に依拠するものもある。

USPSTFの推奨度はエビデンスの強度および純便益(便益から害を差し引いたもの)に基づく:

  • A = 支持する強力なエビデンスがある

  • B = 支持する良好なエビデンスがある

  • C = 便益と害がほぼ均衡しているため,推奨の根拠を示すことができない

  • D = 支持しないエビデンスがある

  • I = 推奨するかしないかを示すエビデンスが不十分である

ACS = American Cancer Society;ACOG = American College of Obstetricians and Gynecologists;DRE = 直腸指診;FIT = 便免疫化学検査;FOBT = 便潜血検査;gFOBT = グアヤック法による便潜血検査;PSA = 前立腺特異抗原;MT-sDNA = マルチターゲット便DNA検査;USPSTF = U.S. Preventive Services Task Force。

関連するトピック