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単関節および単関節周囲の痛みの主な原因

原因

示唆する所見

診断*

結晶誘発性関節炎,通常は尿酸結晶(痛風)またはピロリン酸カルシウム結晶(ピロリン酸カルシウム関節炎),ときにカルシウムヒドロキシアパタイトの結晶によって引き起こされる

急性で自然に軽快する単関節炎の再発,最も頻度が高い箇所は第1中足趾節関節,足関節,もしくは膝関節(痛風),または手関節もしくは膝関節(ピロリン酸カルシウム関節炎)

ときに痛風結節を認める(通常,関節周囲の構造に)

結晶の検査を伴う関節穿刺

ときに超音波検査

ときにdual energy CT

ときに,石灰沈着性関節周囲炎を引き起こす一過性のヒドロキシアパタイト沈着を検索するX線

関節血腫

急性痛および自然発生するまたは外傷後の液貯留

典型的には,既知の出血性疾患

関節穿刺

感染性(化膿性)関節炎(例,細菌性,真菌性,ウイルス性,抗酸菌性,スピロヘータによるもの)

一般的には関節可動域の減少を伴う痛み,腫脹,および熱感の急性または亜急性の発現

免疫抑制患者,静注薬物使用者,糖尿病または抗菌薬の使用歴のある患者,および性感染症に対する危険因子を有する患者でより高頻度

細胞数測定,グラム染色,および培養とともに関節穿刺

ライム病

比較的進行したライム病における単関節炎または少関節炎

流行地域でのダニによる刺咬後の遊走性紅斑,発熱,倦怠感,および/または筋肉痛などの,ライム病の初期症状

Borrelia burgdorferiに対する抗体の血清学的検査

変形性関節症

通常は高齢者における,腫脹を伴うまたは伴わない慢性の緩徐に進行する痛み

骨肥大

ときに肥満,関節オーバーユースの既往(例,プロスポーツ選手における),および/または骨の腫大

X線

関節に隣接する骨髄炎(まれ)

発熱および局在のはっきりしない痛み(関節の腫脹も紅斑も伴わない)

X線に加えて骨シンチグラフィー,CT,またはMRI

培養とともに骨生検

骨壊死(阻血性骨壊死)

しばしば過去または現在のコルチコステロイドの使用または鎌状赤血球症

X線

通常はMRI

関節周囲の疾患(例,滑液包炎,上顆炎,筋膜炎,腱炎腱鞘炎

自動的な関節の動きに伴う痛み;他動的な動きおよび関節の圧迫に伴う,ごくわずかな痛み

滑液包,腱付着部,または他の関節周囲の構造(例,筋膜)上における,圧痛点ならびにときに腫脹および/または紅斑;関節のごくわずかな限局性圧痛,液貯留はない

臨床的評価

ときに,グラム染色,細胞数測定,結晶分析,および培養のために滑液を吸引

乾癬性関節炎(単関節痛よりも少関節痛または多関節痛を引き起こすことが多い)

通常,痛みのある関節における大量の関節液貯留,乾癬患者でみられることが多い

指炎または付着部炎を伴うことがある

臨床的評価

X線

外傷(例,捻挫,半月板断裂,骨折)

通常は最近の,大きな外傷の後に発症

X線

ときにMRI(例,X線が正常な場合)および/または関節鏡検査

腫瘍

通常関節腫脹を伴う,潜行性,緩徐進行性,および結果的に持続性の痛み

X線

MRI

* 関節液貯留または炎症がある患者には関節穿刺(細胞数測定,グラム染色,培養,および結晶検査とともに),ならびに通常は赤血球沈降速度(赤沈)およびC反応性タンパク(CRP)の検査を行うべきである。X線は不要であることが多い。