HIV感染リスクに応じた抗レトロウイルス薬による新生児管理

周産期HIV感染のリスク

母体/新生児の因子

新生児期のHIV管理*

低リスク

母親が妊娠中にARTを受けた。

分娩間近の時期に母親のウイルス学的抑制状態(血漿中HIVウイルス量が50コピー/mL未満)が持続していた。

ARTに対する母親のアドヒアランスについての懸念がみられなかった。

ARV予防投与:ZDVを4週間†

高リスク

母親が妊娠中にARTを受けなかった。

母親が分娩前または分娩時にARVの投与を受けなかった。

母親が分娩時にのみARVの投与を受けた。

母親が分娩前および分娩時にARVの投与を受けたが,分娩間近の時期に血漿中HIVウイルス量が不明または検出限界以上(50コピー/mL以上)であった(特に経腟分娩であった場合)。

妊娠中または授乳中(この場合は授乳を直ちに中止するべきである)に母親に急性HIV感染症がみられた。

母親のHIV感染の有無が不確定で,分娩時または分娩後のHIV検査結果が1回でも陽性となっている。‡

3剤併用によるHIVに対する推定治療(presumptive therapy):ZDV,ラミブジン,およびネビラピンまたはラルテグラビル(出生時から生後6週まで併用)

* ARVの投与は可及的速やかに開始すべきである(分娩後6~12時間以内が望ましい)。用量の詳細については,周産期にHIVに曝露した新生児に対する抗レトロウイルス薬の用量を参照のこと。

† 一部の専門家によると,低リスク基準を満たし,10週間以上連続してARTを受けており,かつ妊娠期間中を通してウイルス抑制状態が維持されている女性から妊娠37週以上で出生した厳選された乳児には,ZDVの2週間の投与が勧められている(Panel on Antiretroviral Therapy and Medical Management of Children Living with HIVによるManagement of Infants Born to People with HIV Infectionを参照)。

‡ 後の検査で母親がHIVに感染していないことが確認された場合は,新生児への治療を中止する。

ART = 抗レトロウイルス療法;ARV = 抗レトロウイルス薬;ZDV = ジドブジン。

Adapted from the Panel on Antiretroviral Therapy and Medical Management of Children Living with HIV: Guidelines for the Use of Antiretroviral Agents in Pediatric HIV Infection.Accessed 02/08/2023.