一般的に使用される経口睡眠薬

薬剤

半減期*(時間)

用量†

備考

ベンゾジアゼピン受容体作動薬:ベンゾジアゼピン系

トリアゾラム

1.5~5.5

0.25~0.5mg

前向性健忘を引き起こすことがある;反復使用後の耐性出現およびリバウンドの可能性が高い

テマゼパム(temazepam)

9.5~12.4

7.5~15mg

睡眠導入までの潜時が最も長い

エスタゾラム

10~24

0.5~2mg

睡眠の導入および維持に効果的である

クアゼパム

39~100

7.5~15mg

親油性が高いため,継続使用時にも鎮静作用の残存は最初の7~10日間で軽減することが多い

フルラゼパム

47~100

15~30mg

次の日まで鎮静作用が残存するリスクが高く,高齢者には推奨されない

ベンゾジアゼピン受容体作動薬:非ベンゾジアゼピン系

ザレプロン

1

5~20mg

作用持続時間が非常に短く,入眠障害または夜間覚醒後に投与可能(服用後の床上時間を4時間以上確保できる場合)

通常の就寝時間に投与した場合,作用が翌日まで残存する可能性が最も低い

ゾルピデム,錠剤

2.5

男性:5~10mg

女性:5mg

入眠障害にのみ効果的である

ゾルピデム口腔内スプレー

2.7

男性:5mg,10mg

女性:5mg

入眠障害に使用され,効果の発現が速い

ゾルピデム,徐放性製剤

2.8

男性:6.25~12.5mg

女性:6.25mg

入眠障害および睡眠維持障害に効果的であり,週3~7日のペースであれば最大6カ月まで耐性が生じない

ゾルピデム,舌下錠

2.9

就寝時

  • 男性:5mg,10mg

  • 女性:5mg

深夜

  • 男性:3.5mg

  • 女性:1.75mg

ゾルピデム錠よりも作用の発現が速い

入眠障害にはより高用量で使用される

早朝覚醒にはより低用量で使用される(服用後の床上時間を4時間以上確保できない場合は服用させるべきでない)

エスゾピクロン

6

1~3mg

入眠障害および睡眠維持障害に効果的であり,毎晩の使用でも最大6カ月まで耐性が生じない

メラトニン受容体作動薬

タシメルテオン(tasimelteon)

0.9~1.7

20mg

全盲の非24時間睡眠覚醒症候群患者において,夜間の睡眠時間を増やし,日中の睡眠時間を減らすことができる

頭痛および異常な夢または悪夢(最も頻度の高い有害作用)を引き起こす可能性がある;明らかな乱用傾向はない

ラメルテオン

1~5

8mg

入眠障害にのみ有用であり,乱用傾向を伴わない数少ない睡眠薬の1つである

軽症または中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群または慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に安全に投与できる

長期使用に伴う問題がない

オレキシン受容体拮抗薬

ダリドレキサント

約8

25~50mg,1日1回,就寝前30分以内

入眠障害および/または睡眠維持障害に使用される

頭痛,傾眠,疲労(最も頻度が高い),希死念慮,うつ病の悪化,睡眠麻痺,および複雑な睡眠関連行動(例,睡眠時遊行症,夢遊運転[sleep driving])を引き起こす可能性がある

レンボレキサント

17(5mgの場合)

19(10mgの場合)

5~10mg,1日1回,就寝直前

入眠障害および/または睡眠維持障害に使用される

傾眠(最も頻度が高い)および希死念慮,うつ病の悪化,睡眠麻痺,ならびに複雑な睡眠関連行動(例,睡眠時遊行症,夢遊運転[sleep driving])を引き起こす可能性がある

ナルコレプシーの患者では禁忌

スボレキサント

12

10~20mg(通常用量:10mg,1日1回,就寝前30分以内;最大用量:20mg)

入眠障害および睡眠維持障害に有用

最小有効量を用いる;10mgの忍容性は良好であるが効果がない場合は最大20mg,1日1回まで増量してもよい

三環系抗うつ薬

ドキセピン,超低用量

15.3

3mg,6mg

睡眠維持障害に適応があり,乱用傾向がない

*親化合物および活性代謝物を含む。半減期の短いものから長いものへと順に並んでいる。

†就寝時に投与。