有鉤条虫の生活環

有鉤条虫の生活環

ヒトは,汚染された豚肉の摂取後に成虫による腸管感染症を発症することもあれば,虫卵(ヒトを中間宿主にする)の摂取後に嚢虫症を発症することもある。

  • 1.嚢虫(幼虫)を含む生または加熱調理不十分な豚肉をヒトが摂取する。

  • 2.摂取された後,嚢胞が翻転し,頭節を介して小腸に付着し,約2カ月で成虫に成熟する。

  • 3.成虫が片節を産生し,それが受胎片節になる;受胎片節は条虫から分離し,肛門に移行する。

  • 4.分離した片節,虫卵,またはその両方が終宿主(ヒト)の便中に排出される。

  • 5.幼虫包蔵卵または受胎片節(例,便で汚染された食品)を摂取してブタまたはヒトが感染する。ヒトでの自家感染は,片節が逆蠕動により腸管から胃に排出された場合に生じることがある。

  • 6.摂取された後,虫卵は腸管内で孵化し,六鉤幼虫を放出し,それらが腸壁から体内に侵入する。

  • 7.六鉤幼虫が血流を介して横紋筋のほか,脳,肝臓,および他の臓器に移行し,そこで嚢虫に発育する。その結果,嚢虫症を発症することがある。