肩関節の三角巾および固定帯は，上腕の支持および肩関節の固定のために用いられる。
三角巾は上肢の重量を支え，上肢の動きを制限するが，肩関節の動きは妨げない。肩関節の動き（特に内旋および外旋）も制限する必要がある場合は，固定帯を追加すべきである。代替として，市販の肩関節固定具を使用することもできる。
適応
肩関節脱臼の非観血的整復後
上腕骨骨折の副子固定後
肩鎖関節離開
前腕または肘の損傷の副子固定後（固定帯を追加しない三角巾で十分である）
禁忌
なし
合併症
三角巾が短すぎると，尺骨神経が圧迫され手関節が三角巾の外に垂れ下がることがある
器具
三角巾
10cm（4インチ）幅の弾性包帯
入手可能であれば，市販の肩関節固定具が代替となる。
その他の留意事項
肩関節の固定は急速に関節のこわばり（凍結肩）を引き起こすことがある。
体位
術者が患者の体幹全体にアクセスできる体位をとらせるべきであり，他の損傷が許せば立位が望ましい。
ステップ-バイ-ステップの手順
肘関節を90度屈曲位，手関節を中間位とし，手掌を体幹に向けて維持する。
肘頭を三角巾の角に配置する。
首の対側にストラップを巻き，三角巾の前に留める。
肘関節を90°屈曲位に保つために，ストラップの長さを調節して患肢を支持する。
弾性包帯を水平方向に健肢の下を通して三角巾の外側と体幹周囲に巻きつけることで，患肢を体幹に固定する。これは固定帯である。
遠位部の神経血管の状態を確認する（例，毛細血管再充満，遠位部の感覚，手指の屈曲および伸展）。
三角巾と固定帯
注意点とよくあるエラー
確実に肘関節を90°屈曲位に保つ。
確実に三角巾を手関節を支持するのに十分な長さにする。尺骨神経に過度の圧力がかかるため，手関節を三角巾の外に垂らしてはならない。
アフターケア
損傷の種類に応じて，継続的な固定と早期の関節可動域訓練について患者と話し合い比較考量する。
適切なフォローアップを手配または推奨する。
アドバイスとこつ
ネクタイは間に合わせの三角巾として使用できる。
市販の肩関節固定具を使用する場合，典型的には，固定帯として機能する一体型のストラップがある。器具の指示に従ってストラップを固定する。
