胎便栓症候群は粘稠度の高い胎便による結腸閉塞である。診断はX線造影剤の注腸のほか,ときにヒルシュスプルング病の検査に基づく。治療はX線造影剤による注腸であるが,まれに外科的減圧が必要になる。
胎便栓症候群は通常,健康な乳児に発生し,頻度は出生500人当たり1例である。一般に,結腸機能の未熟性とみなされ,その結果として最初の排便が起こらない。
胎便栓症候群の病因
胎便栓症候群は以下の集団でより多くみられる:
ある研究では,胎便栓症候群症例の16%でマグネシウムによる子宮収縮抑制との関連が認められた。胎便栓症候群の乳児の約10~40%ではヒルシュスプルング病がみられる(1)。胎便栓症候群には嚢胞性線維症との関連もみられる。
病因論に関する参考文献
1.Buonpane C, Lautz TB, Hu YY: Should we look for Hirschsprung disease in all children with meconium plug syndrome?J Pediatr Surg 54(6):1164, 2019.doi: 10.1016/j.jpedsurg.2019.02.036
胎便栓症候群の症状と徴候
生後数日以内に腹部膨隆,嘔吐がみられ,排便はみられない。粘稠度が高く濃縮された弾性のある胎便が結腸の形の栓を形成し,完全閉塞を引き起こす。
胎便栓症候群の診断
X線造影剤による注腸
ときにヒルシュスプルング病の検査
胎便栓症候群の診断は除外診断であり,最初にヒルシュスプルング病と鑑別すべきである。
腹部単純X線は非特異的であり,下部腸閉塞の徴候を示すことがある。一方,下部消化管造影では,特徴的な所見である結腸壁に対する濃縮された胎便のアウトラインが示され,二重造影のように見える。胎便性イレウスと異なり,胎便栓症候群ではX線上のmicrocolonの所見は典型的にはみられない。
胎便栓症候群の治療
X線造影剤による注腸
水溶性造影剤の注腸により,腸壁から胎便栓を分離し排出させることで,治療できる場合がある。ときに,注腸を繰り返す必要がある。
まれに外科的減圧が必要となる。以降は大半の患児が健康になるが,ヒルシュスプルング病または嚢胞性線維症を除外するために診断検査が必要になる場合がある。