在胎期間

執筆者:Arcangela Lattari Balest, MD, University of Pittsburgh, School of Medicine
レビュー/改訂 2022年 10月
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在胎期間と成長パラメータは,新生児の病態のリスクを同定するのに役立つ。在胎期間は器官成熟の第1の決定因子である。

在胎期間は通常,母体における最後の正常な月経の初日から分娩日までの週数として定義されている。より正確には,在胎期間は受胎日の14日前から分娩日までの期間を指す。しかしながら,最終月経に基づく在胎期間の決定は,母親の月経が不規則な場合には不正確なことがある。在胎期間は実際の胎齢とは異なるが,産科医および新生児専門医が胎児の成熟を議論する上での世界共通の基準となっている。

胎齢は,受胎日から分娩日までに経過した時間であり,在胎期間より2週間短くなる。家庭用ホルモン検査および/または基礎体温の測定によって同定された排卵日から,受胎日を推定できる場合がある。しかし,受胎日が確実に分かるのは,体外受精またはその他の生殖補助医療を利用した場合のみである。

在胎期間の推定は以下に基づく:

  • 最終月経の1日目と月経周期の長さ

  • 受胎日

  • 胎児超音波検査

  • 出生後の身体的パラメータ(例,Ballardスコアを用いる)

医学計算ツール(学習用)

分娩予定日(EDD)は,出産が予定される日である(予定日)。EDDは以下のように算出できる:

  • 受胎日 + 266日

  • 最終月経(LMP)+ 280日(40週)(月経周期が規則的で,28日周期の女性)

  • LMP + 280日 +(周期の長さ – 28日)(月経周期が規則的で,長さが28日以外の女性)

月経が規則的で,同時期に記録されている場合,月経歴は比較的信頼できる。

他の情報が欠けているか信頼できない場合には,第1トリメスターにおける胎児の超音波検査による測定により,最も正確に在胎期間を推定できる。受胎日が不明で,月経周期が不規則,信頼できない,またはそれに関する情報がない場合,超音波検査だけが分娩予定日を推定する手がかりになることもある。月経周期のデータに基づいて分娩予定日を算出した場合(American College of Obstetricians and Gynecologists[ACOG]のMethods for Estimating Due Dateを参照)について,ACOGは,超音波検査に基づく予定日と算出された予定日の間に以下の差がみられる場合には超音波検査に基づく予定日を採用するよう推奨している。

  • ≤ 妊娠8週6日:> 5日

  • 妊娠9週~13週6日:> 7日

超音波検査による推定は妊娠の後半になると精度が低下するため,第1トリメスターで算出された予定日を第2および第3トリメスターでの超音波検査結果で修正する状況はまれである。

新生児の身体所見も,臨床医が在胎期間を推定するために用いることができる(New Ballardスコアによる)。Ballardスコアは±2週間の範囲内であれば正確である。新生児の臨床的な在胎期間の評価では,早産児では在胎期間が過大評価され,在胎不当過小児(small-for-gestational-age infant)では過小評価されることが判明している(1)。したがって,在胎期間の決定およびケアに関する決定に身体診察による在胎期間の評価を用いるべき状況は,分娩予定日について信頼できる産科的情報がない場合,または産科的に定義された在胎期間と身体診察での所見との間に大きな乖離がみられる場合だけである。

Ballardスコアは新生児の身体および神経筋の成熟度に基づいたものであり,出生後4日まで適用可能である(実際の診療では,通常生後24時間までにBallardスコアを用いる)。身体要素は出生後急速に成熟するため,神経筋要素の方が一貫性が高い。ただし,神経筋要素は疾病および薬剤の影響を受ける可能性がある(例,陣痛中に投与された硫酸マグネシウム)。

在胎期間の評価―New Ballardスコア

神経筋および身体の各ドメインの得点を加算して総合得点を出す。(Adapted from Ballard JL, Khoury JC, Wedig K, et al: New Ballard score, expanded to include extremely premature infants. Pediatrics 119(3):417–423, 1991.doi: 10.1016/s0022-3476(05)82056-6; used with permission of the CV Mosby Company.)

在胎期間に基づき,新生児を以下のように分類する(2):

  • 早産児(preterm):在胎34週未満

  • 後期早産児(late preterm):34週~36週6日

  • 早期正期産児(early term):37週0日~38週6日

  • 正期産児(full term):39週0日~40週6日

  • 後期正期産児(late term):41週0日~41週6日

  • 過期産児(postterm):42週0日以降

総論の参考文献

  1. 1.Lee AC, Panchal P, Folger L, et al: Diagnostic accuracy of neonatal assessment for gestational age determination: A systematic review. Pediatrics 140(6):e20171423, 2017.doi: 10.1542/peds.2017-1423

  2. 2.Spong CY: Defining "term" pregnancy: Recommendations from the Defining "Term" Pregnancy Workgroup. JAMA 309(23):2445–2446, 2013.doi: 10.1001/jama.2013.6235

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG): Methods for estimating due date

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