陣痛誘発

執筆者:Julie S. Moldenhauer, MD, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2021年 7月
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陣痛誘発とは,経腟分娩を達成するために,自然に陣痛が起こる前に子宮収縮を刺激することである。

    適応

    陣痛誘発には以下の場合がある:

    選択的誘発では,事前に妊娠期間を決定しなければならない。一般的に,周産期の有益性を示すエビデンスがないこと,および帝王切開やその他の望ましくない転帰の頻度の高さに関する懸念から,39週での選択的誘発は回避されてきた。この慣習は変化している可能性があり,その理由の1つとして,2018年の研究において,低リスクの女性に39週で陣痛誘発を行うと,待機的管理の場合と比較して帝王切開の頻度が減少した(ただし周産期の望ましくない転帰は減少しなかった)ことが示されたことがある(1)。

    誘発の禁忌は以下を認めるか,既往がある場合である:

    • 子宮底部の手術

    • 直視下母体胎児外科手術(open maternal-fetal surgery)(例,脊髄髄膜瘤の閉鎖)

    • 子宮腔の開放を伴う子宮筋腫核出術

    • 子宮の肥厚した筋層部への古典的(縦)切開による帝王切開の既往

    • 活動性の性器ヘルペス

    • 前置胎盤または前置血管

    • 胎位異常(例,横位,臍帯下垂,一部の病型の胎児骨盤不均衡)

    複数の子宮瘢痕の存在および骨盤位は相対的禁忌である。

    適応に関する参考文献

    1. 1.Grobman WA, Rice MM, Uma M. Reddy UM, et al: Labor induction versus expectant management in low-risk nulliparous women.N Engl J Med 379 (6):513–523, 2018. doi: 10.1056/NEJMoa1800566

    手技

    子宮口が閉じ,長くて硬いようならば(熟化不良),子宮頸管の開大と展退(熟化良好)を生じさせることが目標となる。様々な薬剤と機械的方法が用いられる。具体的には以下のものがある:

    • ミソプロストール(25μg,腟内,2~4時間毎または25~50μg,経口,2時間毎)

    • プロスタグランジンE2(0.5mg,頸管内,または10mg,腟内ペッサリーとして[プロスタグランジンは帝王切開または子宮手術の既往がある女性では,薬剤により子宮破裂のリスクが上昇するため禁忌である])

    • オキシトシン(低用量または高用量)

    • ラミナリア桿および経頸管バルーンカテーテル(他の方法が無効であったり禁忌が存在する場合に有用な場合がある)

    • フォーリーカテーテル(ラテックス製のダブルルーメンカテーテル)による機械的拡張に加え,ミソプロストールまたはオキシトシン(1)

    頸管が熟化すれば,陣痛を誘発する。

    オキシトシンの持続静注は最も頻用される方法である;安全で費用対効果が高い。低用量オキシトシンを0.5~2ミリ単位/分で投与し,通常15~60分毎に1~2ミリ単位/分を増量する。高用量オキシトシンは6ミリ単位/分で投与し,15~40分毎に1~6ミリ単位/分を,最大40ミリ単位/分まで増量する。40ミリ単位/分を超える用量では,過度の水分貯留から水中毒につながる可能性がある。子宮頻収縮(30分間の平均で10分間に5回を超える収縮)は胎児に障害をもたらす可能性があり,これを予防するため,オキシトシンの使用を管理しなければならない。

    外測式胎児モニタリングがルーチンに行われる;人工破膜(意図的な破膜)の後,胎児の状態が外側的に評価できない場合には内測式モニタリングの適応となることがある。人工破膜は,熟化した頸管に児頭が固定し,児頭が動かない(浮動しない)場合,分娩促進のために行うことができる。

    手技に関する参考文献

    1. 1.Levine LD, Downes KL, Elovitz MA, et al: Mechanical and pharmacologic methods of labor induction: A randomized controlled trial.Obstet Gynecol 128 (6):1357–1364, 2016.

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