子宮頸部平滑筋腫

(子宮頸部筋腫)

執筆者:David G. Mutch, MD, Washington University School of Medicine;
Scott W. Biest, MD, Washington University School of Medicine
レビュー/改訂 2023年 5月
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子宮頸部平滑筋腫は良性の平滑筋腫瘍である。症状としては,異常性器出血,帯下,性交痛などがある。診断は内診または,ときに画像検査による。治療は経過観察または外科的切除による。

子宮頸部平滑筋腫はまれである。子宮平滑筋腫(筋腫)は一般的に子宮体部に発生し,通常は子宮頸部筋腫の患者にみられる。大きな子宮頸部平滑筋腫は尿路を部分的に閉塞する。子宮頸部平滑筋腫は脱出しないが,粘膜下筋腫の中には頸管から腟へ脱出するものがある。脱出した平滑筋腫は,ときに潰瘍化,感染,出血,あるいはこれらが組み合わさった状態となる。

子宮頸部平滑筋腫の症状と徴候

大半の子宮頸部平滑筋腫は最終的には症状を引き起こす。最も頻度の高い症状は出血であり,不規則または大量であるか,ときに貧血を生じることがある。性交痛が生じることがある。感染により疼痛,出血,または分泌物が生じることがある。

尿流出路閉塞により,排尿遅延,尿失禁,または尿閉が生じ,尿路感染症が発生することもある。

子宮頸部平滑筋腫の診断

  • 内診

  • ときに画像検査

子宮頸部平滑筋腫の診断は身体診察による。一部は双合診時に触知可能である。超音波検査またはMRIが診断に役立ちうる。

腟鏡診では,脱出した粘膜下平滑筋腫が外子宮口の位置,またはその先に見えることがある。典型的にはこれらは有茎性かつ可動性であることから,通常は無茎性の子宮頸部平滑筋腫と鑑別される。脱出した粘膜下平滑筋腫はもろく,潰瘍化することがある。

経腟超音波検査またはMRIは以下の理由がある場合にのみ行う:

  • 不確かな診断を確定するため

  • 尿流出路閉塞を除外するため

  • 他の平滑筋腫を同定するため

  • 脱出した粘膜下平滑筋腫と真の子宮頸部平滑筋腫を鑑別するため

貧血を除外するためヘモグロビンまたはヘマトクリットを測定する。

他の種類の頸部腫瘤を除外する必要がある場合は,生検を行う。

子宮頸部平滑筋腫の治療

  • 症状を引き起こしている平滑筋腫の除去

子宮頸部平滑筋腫の治療は子宮筋腫の治療と同様である。小さく,無症状の平滑筋腫には治療を行わない。症状を引き起こしている子宮頸部平滑筋腫の大半は,筋腫核出術(特に妊孕性が重要な場合),または技術的に筋腫核出術が困難である場合は子宮摘出術により除去する。

脱出した平滑筋腫は,可能であれば経腟的に切除すべきである。

要点

  • 子宮頸部平滑筋腫は良性である。

  • 大半の子宮頸部平滑筋腫は最終的に症状(主に出血)を引き起こし,大きな平滑筋腫は尿路を部分的に閉塞することがある。

  • 子宮頸部平滑筋腫の診断は,内診のほか,ときに経腟超音波検査またはMRIによる。

  • 症状を引き起こしている子宮頸部平滑筋腫は,通常は筋腫核出術により外科的に除去するが,筋腫核出術が可能でない場合は子宮摘出術による。

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