子宮腺筋症は,子宮筋組織内に子宮内膜の腺および間質が認められる病態である。症状としては過多月経,月経困難症,骨盤痛などがある。診断は,びまん性に増大した子宮を内診で認めるほか,経腟超音波検査またはMRIによる。治療は,ホルモン剤または子宮摘出術による。
子宮腺筋症では,異所性子宮内膜組織が子宮筋層に浸潤する。これによってびまん性に子宮が増大する(球状の子宮増大)。子宮の大きさが2倍から3倍になることがあるが,典型的には妊娠12週時の子宮の大きさを超えない。
真の有病率は不明であるが,これは一部には診断が難しいことによる。しかしながら,子宮内膜症,筋腫,または骨盤痛の評価中に子宮腺筋症が偶発的発見される場合が最も多い。経産回数が多いとリスクが増加する。
子宮腺筋症の症状と徴候
子宮腺筋症の一般的な症状は,過多月経,月経困難症,および貧血である。慢性骨盤痛が存在することもある。
閉経後に症状が消失することがある。
子宮腺筋症の診断
内診
通常,超音波検査またはMRI
子宮腺筋症は,子宮内膜症や筋腫を認めない女性において,症状と内診時にびまん性の子宮増大を認めることにより示唆される。経腟超音波検査およびMRIが一般的に診断に用いられるが,確定診断には子宮摘出術後の組織学的検査が必要である。
子宮腺筋症の治療
子宮摘出術
子宮腺筋症に対する最も効果的な治療は子宮摘出術である。
子宮内膜症治療に用いるものに類似するホルモン療法を試すことがある。エストロゲン/プロゲスチン配合薬の経口避妊薬による治療を試すことができるが,通常は無効に終わる。レボノルゲストレル放出子宮内避妊器具(IUD)が月経困難症および出血のコントロールに役立つことがある。
要点
子宮腺筋症では,子宮の大きさが2倍から3倍になることがある。
一般的には過多月経,月経困難症,および貧血を引き起こすほか,慢性骨盤痛を引き起こすこともある;閉経後に症状が消失することがある。
診断は経腟超音波検査および/またはMRIによるが,確定診断には子宮摘出後の組織学的検査が必要である。
最も効果的な治療は子宮摘出術であるが,ホルモン療法(例,経口避妊薬)を試すこともできる。