ブラキシズム

執筆者:Bernard J. Hennessy, DDS, Texas A&M University, College of Dentistry
レビュー/改訂 2022年 2月
意見 同じトピックページ はこちら

ブラキシズムとは歯のクレンチング,またはグラインディングを意味する。

    ブラキシズムは睡眠中に生じる場合(睡眠時ブラキシズム)と覚醒中に生じる場合(覚醒時ブラキシズム)がある。ブラキシズムにより,頭痛,頸部痛,および/または顎痛が生じる場合もある。最も重度かつ激しいグラインディングやクレンチングは睡眠中に起こる。本人はブラキシズムに気づいていないことがあるが,家族が気がつくことがある。ブラキシズムは歯冠のエナメル質および象牙質をすり減らし最終的には磨耗させ,金属およびセラミッククラウンにダメージを与え,また歯の動揺を引き起こすことがある。

    ブラキシズムは多因子性の病態と考えられている。確立された危険因子または寄与因子としては,睡眠障害や精神的ストレス(例,不安)などがある。胃食道逆流症(GERD)および/または閉塞性睡眠時無呼吸症候群が併存する患者では,歯の磨耗と酸蝕はしばしば悪化傾向をみせる;睡眠時無呼吸症候群とブラキシズムとの関連についての理解は進みつつある。

    治療には,患者が覚醒している間,意識してブラキシズムを減らすよう試みることが求められる。上下歯列の間にはめ込むことで咬合接触を防ぐプラスチック製の口腔内装置(ナイトガード)を,就寝時には使用できる。症状が重度の場合,この装置を日中使用することもできる。通常,このような装置はカスタムメイドで,歯科医師が調整適合する。しかし,歯の磨耗のみが問題である場合,自宅で市販(OTC)の熱可塑性のナイトガードを使用することもできるが,まずは磨耗の重症度を歯科的に評価し,OTCの装置が適切であるかを判断すべきである。ナイトガードが使えるまで軽度の抗不安薬,特にベンゾジアゼピン系薬剤が有効である場合があるが,長期に用いられるべきではない。

    筋筋膜性疼痛症候群も参照のこと。)

    quizzes_lightbulb_red
    Test your KnowledgeTake a Quiz!
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
    医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS