白癬性毛瘡(barber's Itch)

執筆者:Denise M. Aaron, MD, Dartmouth Geisel School of Medicine
レビュー/改訂 2021年 9月
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白癬性毛瘡は,須毛部の皮膚糸状菌感染症であり,最も頻度の高い原因菌はTrichophyton mentagrophytesT. verrucosumである。診断は引き抜いた毛髪のKOH直接鏡検による。治療は経口抗真菌薬のほか,ときにプレドニゾンによる。

白癬性毛瘡は須毛部に表在性の環状病変として出現する皮膚糸状菌症であるが,毛包炎に似たより深部の感染症が生じることもある。白癬性毛瘡は炎症症状を伴った禿瘡(皮膚糸状菌に対する重度の炎症反応により頭皮に波動を伴う大きな腫瘤が生じる)として生じることもあり,その場合は瘢痕性脱毛症を来すことがある。

白癬性毛瘡(紅斑を伴う環状病変)
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この写真には,白癬性毛瘡患者の須毛部に生じた紅斑を伴う大きな環状病変が写っている。
Image courtesy of the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

白癬性毛瘡の診断

  • KOH直接鏡検

白癬性毛瘡の診断は,引き抜いた毛髪のKOH直接鏡検での真菌成分(菌糸)の同定,培養,または生検による。

須毛部の毛包に生じる丘疹および膿疱の鑑別診断としては,細菌性毛包炎などがある。

白癬性毛瘡の治療

  • 抗真菌薬の内服

  • ときにプレドニゾン

白癬性毛瘡の治療は,グリセオフルビン微粒子化製剤500mg~1g,経口,1日1回の投与であり,臨床症状が消失してからも2~3週間継続する( see table 表在性真菌感染症の治療選択肢*)。テルビナフィン250mg,経口,1日1回およびイトラコナゾール200mg,経口,1日1回も用いられている。

病変部に重度の炎症がみられる場合は,短期間のプレドニゾン投与を追加すべきであり(症状を軽減し,おそらく瘢痕化の可能性が低下する),その場合は40mg,経口,1日1回(成人の場合)で開始し,2週間かけて漸減する。

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