A型肝炎(HepA)ワクチン

執筆者:Margot L. Savoy, MD, MPH, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
レビュー/改訂 2023年 7月
意見 同じトピックページ はこちら

A型肝炎ワクチンは2つあり,どちらもA型肝炎に対する長期の防御効果をもたらす。

詳細については,Hepatitis A Advisory Committee on Immunization Practices Vaccine RecommendationsおよびCenters for Disease Control and Prevention (CDC): Hepatitis A Vaccinationを参照のこと。

予防接種の概要も参照のこと。)

A型肝炎ワクチンの製剤

A型肝炎(HepA)ワクチンは,ホルマリンで不活化した細胞培養由来のA型肝炎ウイルスから調製される。どちらのワクチンにも小児用の製剤と成人用の製剤がある。

A型肝炎ワクチンとB型肝炎ワクチンを混合したワクチンもある。

A型肝炎ワクチンの適応

A型肝炎ワクチンは,ルーチンの小児予防接種に組み込まれている(CDC: Child and Adolescent Immunization Schedule by Ageを参照)。

HepAワクチンは,以下のいずれかに該当する場合にも適応となる(CDC: Adult Immunization Schedule by Ageを参照):

  • ワクチン未接種者がA型肝炎予防を望んでいる

  • 流行地域への旅行または就労

  • 職業曝露(例,研究施設でA型肝炎ウイルス[HAV]に感染した霊長類またはHAV自体を取り扱う業務に従事する)

  • 男性間での性行為

  • メタンフェタミンなどの違法薬物の使用(注射またはそれ以外)

  • ホームレス状態

  • 1歳以上の全ての個人におけるHIV感染症

  • 慢性肝疾患(例,B型肝炎,C型肝炎,肝硬変,脂肪性肝疾患,アルコール性肝疾患,または自己免疫性肝炎を有するか,アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]値またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]値が正常上限の2倍を超える患者)

  • 流行地域から養子として米国に迎えられた小児と入国後60日以内に密接な対人接触(例,家族または定期のベビーシッターとしての接種)が予想される

  • 最近A型肝炎ウイルスに曝露した40歳以下の健康な成人,およびA型肝炎免疫グロブリンがない場合の40歳以上の成人

  • 妊娠中にHAV感染のリスクがあると同定された妊婦(例,国際旅行者,違法薬物を使用している妊婦[注射またはそれ以外],職業曝露のリスクがある妊婦,国際養子との密接な対人接触が予想される妊婦,ホームレスの妊婦),およびHAV感染症が重症化するリスクがある妊婦(例,慢性肝疾患またはHIV感染症の妊婦)

A型肝炎のアウトブレイク時には,A型肝炎ウイルスの感染リスクがある1歳以上の個人にワクチンを接種すべきである。

A型肝炎・B型肝炎混合ワクチンは,18歳以上でA型肝炎またはB型肝炎ワクチンいずれかの適応があり,かつ以前にこれらの成分を含有するワクチンの接種を受けたことがない個人に使用することができる。

A型肝炎ワクチンの禁忌および注意事項

HepAワクチンの主な禁忌は以下の通りである:

  • 以前の接種後に,またはワクチン成分に対して,重度のアレルギー反応(例,アナフィラキシー)を起こしたことがある

HepAワクチンの主な注意事項は以下の通りである:

  • 発熱の有無にかかわらず,中等度または重度の疾患が認められる(その疾患が消失するまで接種を延期する)

A型肝炎ワクチンの用量および用法

HepAワクチンの用量は18歳以下では0.5mLの筋肉内接種,成人(19歳以上)では1mLの筋肉内接種である。

小児には,典型的には計2回の接種を行い,1回目は生後12~23カ月に,2回目は1回目の6~18カ月後に接種する。

メーカーに応じて,成人には,0および6~12カ月時点(Havrix)または0および6~18カ月(Vaqta)時点で計2回の接種を行う。

あるいは,成人にはHepA・HepB混合ワクチンを計3回のスケジュール(0カ月,1カ月,6カ月)で接種することもできる。1回目と2回目の接種の間は4週間以上の間隔を空けるべきであり,2回目と3回目の間は5カ月以上の間隔を空けるべきである。もしくは,4回の加速接種スケジュール(0日目,7日目,21日目,30日目)も選択可能であり,その場合は1回目の12カ月後に追加接種を行う。

流行地域の小児を養子に迎える計画を立てた際には,濃厚接触者となる個人は速やかに(理想的には小児が到着する2週間前までに)A型肝炎ワクチンの2回接種の1回目を受けるべきである。

A型肝炎ワクチンの有害作用

重篤な有害作用は報告されていない。

頻度の高い有害反応としては,注射部位の疼痛,紅斑,腫脹のほか,ときに硬結などがある。その他の頻度の高い有害反応としては,12~23歳の人々での発熱や成人での頭痛などがある。

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP): Hepatitis A ACIP Vaccine Recommendations

  2. Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Hepatitis A Vaccination: Information for Healthcare Providers

  3. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC): Hepatitis A: Recommended vaccinations

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS