ロタウイルスワクチンは,ロタウイルス感染症によって引き起こされる胃腸炎を予防する目的で乳児への接種が推奨される。
詳細については,Rotavirus Advisory Committee on Immunization Practices Vaccine RecommendationsおよびCenters for Disease Control and Prevention (CDC): Rotavirus Vaccinationを参照のこと。
(予防接種の概要も参照のこと。)
ロタウイルスワクチンの製剤
ロタウイルスワクチンは生ウイルスワクチンである。米国では現在のところ,RV5およびRV1が乳児を対象に承認されている。
ロタウイルスワクチンの適応
ロタウイルスワクチンは,ルーチンの小児予防接種に組み込まれている(CDC: Child and Adolescent Immunization Schedule by Ageを参照)。
ロタウイルスワクチンの禁忌および注意事項
ロタウイルスワクチンの禁忌は以下の通りである:
以前のこのワクチンの接種後に,またはワクチン成分(RV1のチューブ先端部のラテックスを含む)に対して,重度のアレルギー反応(例,アナフィラキシー)を起こしたことがある
重症複合免疫不全症の乳児
腸重積症の既往がある乳児
ロタウイルスワクチンの主な注意事項は以下の通りである:
中等度または重度の疾患(中等度または重度の下痢または嘔吐を含む)が認められる場合(疾患が軽快するまで接種を延期する;軽症の乳児には接種できる)
ロタウイルスワクチンの安全性および有効性は,以下に該当する乳児では確立されていない:
HIV/AIDSまたは免疫系に影響を及ぼすその他の疾患
コルチコステロイドまたはその他の免疫抑制薬による治療
悪性腫瘍または放射線もしくは薬物によるがん治療
ロタウイルスワクチンの用量および用法
ロタウイルスワクチンは,乳児の口腔内に滴下することで経口接種される。2つのワクチンの用法・用量は若干異なっている:
RV5は,生後2カ月,4カ月,および6カ月の時点で1回ずつ,計3回経口接種する。
RV1は,生後2カ月および4カ月の時点で1回ずつ,計2回経口接種する。
一連の接種のいずれかで使用したワクチンがRV5または不明の場合は,3回接種を基本とする。
ロタウイルスワクチンの初回接種が生後15週以降になってしまった場合は,ルーチンに推奨される間隔を空けて残りの接種を行うべきである。
たとえ所定回数の接種が完了していなくても,生後8カ月0日以降にロタウイルスワクチンを接種してはならない。
ロタウイルスワクチンの有害作用
有害作用はまれである。乳児が易刺激性を示したり,一時的に軽度の下痢または嘔吐がみられたりすることがある。
ロタウイルスワクチンの接種に伴い腸重積症が発生するリスクがごくわずかにある。腸重積症は通常,1回目または2回目の接種から1週間以内に発生する。手術が必要になることがある。
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP): Rotavirus ACIP Vaccine Recommendations
Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Rotavirus Vaccination: Information for Health Care Professionals
European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC): Rotavirus Infection: Recommended vaccinations