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乳児一過性低ガンマグロブリン血症は,血清中IgGの一時的な減少であり,ときにIgAおよび他の免疫グロブリン(Ig)アイソタイプが年齢に相応しい正常値を下回るレベルに減少する。
(免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。)
乳児一過性低ガンマグロブリン血症は,液性免疫不全が関与する,原発性免疫不全症である。この疾患では,生後3~6カ月頃に母親由来のIgGが生理的に減少した後にIgGレベルが低い状態が続く。原因および遺伝形式は不明である。
本疾患が重大な感染症を招くことはまれであり,真の免疫不全症ではないと考えられる。本疾患は通常無症状である。しかし,少数の患者で副鼻腔肺感染症または消化管感染症,カンジダ症,および/または髄膜炎が発生する。
乳児一過性低ガンマグロブリン血症の診断は,血清中Ig濃度の低下(年齢平均値を2標準偏差以上下回る)およびワクチン抗原(例,破傷風,ジフテリア)に対する応答で抗体産生が正常であることを示す検査結果に基づく。したがって,本疾患は,ワクチン抗原に対して特異的抗体が産生されない永久的な型の低ガンマグロブリン血症と区別できる。
反復性感染症のある患者では,予防的抗菌薬投与による治療を一時的に実施してもよい。免疫グロブリンは通常不要である。
乳児一過性低ガンマグロブリン血症は数カ月から数年にわたり持続することがあるが,通常消失する。
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