POEMS症候群

(クロウ-深瀬症候群;高月病;PEP症候群)

執筆者:Jennifer M. Barker, MD, Children's Hospital Colorado, Division of Pediatric Endocrinology
レビュー/改訂 2023年 4月
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POEMS(多発神経障害[polyneuropathy],臓器腫大[organomegaly],内分泌障害[endocrinopathy],単クローン性免疫グロブリン血症[monoclonal gammopathy],皮膚変化[skin changes])は,自己免疫を病因としない多腺性機能不全症候群である。

POEMS症候群は,腫瘍に随伴するまれな疾患であり,おそらく形質細胞疾患に起因する循環血液中の免疫グロブリンによって引き起こされる。循環血液中のサイトカイン(インターロイキン1-β,インターロイキン6),血管内皮増殖因子(VEGF),および腫瘍壊死因子αも増加する。

POEMS症候群の症状と徴候

患者には以下がみられる場合がある:

POEMS症候群のその他の症候としては,浮腫,腹水,胸水,乳頭浮腫,発熱などがある。POEMS症候群の患者の約15%がキャッスルマン病(リンパ増殖性疾患の一種であり,HIVまたはヒトヘルペスウイルス8型感染に関連する病型もある)を合併する。

POEMS症候群の診断

病態生理が不明なその他の症候群と同様に,POEMS症候群は一連の症状,徴候,および臨床検査所見に基づいて診断される。

必須基準の両者に加えて,1つ以上の大基準および小基準を満たさなければならない。

必須基準(両者):

  • 多発神経障害

  • モノクローナル形質細胞増殖の所見

大基準(1つ以上):

  • キャッスルマン病

  • 血管内皮増殖因子(VEGF)の上昇

  • 骨硬化性病変

小基準(1つ以上):

  • 内分泌障害(糖尿病および甲状腺機能低下症以外)

  • 血管外の体液量過剰(例,腹水,末梢浮腫,胸水)

  • 臓器腫大

  • 乳頭浮腫

  • 皮膚の変化

  • 血小板増多症または赤血球増多症

POEMS症候群の治療

  • 放射線療法

  • 化学療法と造血幹細胞移植の併用または化学療法単独

POEMS症候群の治療では,骨病変または骨髄病変に対して放射線療法または化学療法を行い,ときにそれに続いて自家造血幹細胞移植を行う(1)。5年生存率は約60%である。

治療に関する参考文献

  1. 1.Khouri J, Nakashima M, Wong S: Update on the diagnosis and treatment of POEMS (polyneuropathy, organomegaly, endocrinopathy, monoclonal gammopathy and skin changes) syndrome.JAMA Oncol 7(9):1383-1391, 2021.doi: 10.1001/jamaoncol.2021.0586

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