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モリブデン(Mo)は,キサンチンオキシダーゼ,亜硫酸酸化酵素,およびアルデヒドオキシダーゼの活性に必要な補酵素の成分である。
モリブデンの遺伝性の欠乏症および摂取不足による欠乏症が報告されているが,いずれもまれである。小児の遺伝性の亜硫酸オキシダーゼ欠損症が1967年に報告された。これは,モリブデンが十分存在しているにもかかわらず,モリブデン補酵素を生成できないことから生じたものである。この欠損症は,知的障害,痙攣発作,後弓反張,および水晶体偏位を引き起こした。
亜硫酸酸化酵素活性の低下および亜硫酸塩中毒に至ったモリブデン欠乏症が,長期間完全静脈栄養を受けている患者に生じた。症状は,頻脈,頻呼吸,頭痛,悪心,嘔吐,および昏睡であった。臨床検査により,血中および尿中の亜硫酸とキサンチン濃度の高値ならびに硫酸塩および尿酸濃度の低値が明らかになった。モリブデン酸アンモニウム300μg/日の静注により,劇的な回復がみられた。
(ミネラル欠乏症および中毒の概要も参照のこと。)
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