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クールーは,パプアニューギニアの風土病であるまれな脳のプリオン病であり,人肉食の儀式により広まったと考えられている。
(プリオン病の概要も参照のこと。)
人肉食の儀式は1950年代に終息したものの,1996年から2004年までの期間にも新たに11例のクールーが報告されており,潜伏期間が50年以上に及ぶ可能性が示唆されている。
クールーの症状は振戦(シバリングに似る)および運動失調から始まる。後期には舞踏病アテトーゼ,線維束性収縮,ミオクローヌスなどの運動障害が起こり,続いて認知症が生じる。
髄液検査は有用ではないようである。ほかに結果が報告されている検査はほとんどない。クールーの患者では,診断の決め手となるPRNP遺伝子の異常は同定されていない。しかしながら,パプア人集団のうちクールーを発症していない人々の間で,プリオン病に対する防御機能を付与するPRNPの遺伝子型が同定されている(1)。剖検では,PrPScを含有する典型的なプラークが認められ,小脳での密度が最も高い。
通常は最初の症状発現から2年以内に死亡し,死因は通常,肺炎または褥瘡による感染症である。
クールーの治療は支持療法のみである。
総論の参考文献
1.Asante EA, Smidak M, Grimshaw A, et al: A naturally occurring variant of the human prion protein completely prevents prion disease.Nature 522 (7557):478–481, 2015.doi: 10.1038/nature14510
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