声帯機能不全

(声帯の奇異性運動)

執筆者:Rebecca Dezube, MD, MHS, Johns Hopkins University
レビュー/改訂 2021年 9月
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声帯機能不全は,声帯の奇異性運動または運動機能異常を伴うもので,声帯の吸気時の内転および呼気時の外転と定義される;これは吸気時の気道閉塞,および喘息としばしば間違えられる吸気性喘鳴を生じる。声帯麻痺(片則および両側)については,本マニュアルの別の箇所で考察されている。吸気性喘鳴の患者の評価全般ついては,本マニュアルの別の箇所で考察されている。

声帯機能不全は20歳から40歳の女性でより頻繁にみられる。病因は不明であるが,不安,抑うつ,心的外傷後ストレス症,およびパーソナリティ症に関連していると考えられる。作為症とは考えられていない(すなわち,患者が意識的にそうしているわけではない)。

症状は通常吸気性喘鳴であり,より頻度は低いが呼気性喘鳴もみられる。その他の所見には嗄声,のどの締め付け感,窒息感,および咳嗽などがある(1)。

診断はフローボリューム曲線の特徴的なパターンから示唆される。直達喉頭鏡検査で吸気時の声帯閉鎖を観察することで診断が確定される。声帯機能不全は,患者が喘息と誤って診断され,気管支拡張薬またはコルチコステロイドに反応しないことがわかって初めて診断されることがある。

総論の参考文献

  1. 1.Christopher KL. Wood, II RP, Eckert RC, et al: Vocal-cord dysfunction presenting as asthma.N Engl J Med 308: 1566–1570, 1983.doi: 10.1056/NEJM198306303082605

声帯機能不全の治療

  • 教育およびカウンセリング

声帯機能不全の治療では以下のことを行う:

  • 疾患の性質について患者に情報を与える

  • 言語療法士による浅速呼吸などの特別な呼吸法(吸気性喘鳴および閉塞を軽減する)に関するカウンセリング

まれではあるが,重症例では気管切開による治療が行われている。

精神疾患の診断と関連する声帯機能不全は,しばしばこれらの処置に抵抗性である。そのような症例は,精神科カウンセリングへの紹介が適応となる。

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