高血圧性細動脈腎硬化症

執筆者:Zhiwei Zhang, MD, Loma Linda University School of Medicine
Reviewed ByNavin Jaipaul, MD, MHS, Loma Linda University School of Medicine
レビュー/改訂 修正済み 2025年 2月
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高血圧性細動脈腎硬化症は,コントロール不良の慢性高血圧を原因とする進行性の腎疾患である。慢性腎臓病の症候が出現することがあり(例,食欲不振,悪心,嘔吐,そう痒,傾眠,錯乱),また高血圧に続発した末端臓器障害の徴候も出現する可能性がある。診断は主として臨床的であり,超音波検査およびルーチンの臨床検査の所見によって裏付けられる。治療は厳格な血圧コントロールおよび腎機能の維持である。

高血圧性細動脈腎硬化症は,慢性高血圧により微小血管,糸球体,および尿細管間質組織が障害される結果として発生する。その結果,進行性の慢性腎臓病が発生する。

高血圧性細動脈腎硬化症から腎不全(英語ではかつてend-stage renal diseaseと呼ばれていた状態)(1)には,ごくわずかの割合の患者のみが進行する。しかしながら,慢性高血圧および高血圧性腎硬化症は一般的にみられるため,高血圧性細動脈腎硬化症は腎不全患者における最も多い診断の1つである。同疾患は,悪性細動脈腎硬化症(急速に進行して末端臓器障害に至る)から区別するためにしばしば良性と表現される。

危険因子としては以下のものがある:

黒人はリスクが上昇しており,高血圧の治療不十分が黒人でより多くみられることに起因するのか,あるいは黒人が高血圧性腎障害に対して遺伝的に高い感受性を有することに起因するのかは不明である(2)。

総論の参考文献

  1. 1.Levey AS, Eckardt KU, Dorman NM, et al: Nomenclature for kidney function and disease: Executive summary and glossary from a Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Consensus Conference. Kidney Res Clin Pract 39(2):151–161, 2020.doi:10.23876/j.krcp.20.393

  2. 2.Rahman M, Douglas JG, Wright JT Jr.Pathophysiology and treatment implications of hypertension in the African-American population. Endocrinol Metab Clin North Am 1997;26(1):125-144.doi:10.1016/s0889-8529(05)70237-1

高血圧性細動脈腎硬化症の症状と徴候

慢性腎臓病の症候,例えば食欲不振,悪心,嘔吐,そう痒,傾眠または錯乱,体重減少,口腔内の不快な味などがみられることがある。高血圧関連の末端臓器障害の徴候が眼の脈管構造,皮膚,中枢神経系,末梢に起こりうる。

高血圧性細動脈腎硬化症の診断

  • 高血圧の既往

  • 腎不全を示唆する血液検査

  • 高血圧による末端臓器障害の徴候

  • 慢性腎臓病のその他の原因がないこと

診断は,高血圧患者のルーチンの血液検査が腎機能の増悪(例,クレアチニンおよび血中尿素窒素[BUN]の上昇,高リン血症)を示唆する場合に疑われることがある。診断は通常,病歴に加えて,身体診察で高血圧に関連する末端臓器障害の所見(例,網膜変化,左室肥大)を認めることで推測される。高血圧がタンパク尿および腎不全の出現前から存在している必要があり,ほかに腎不全の原因となる病態が臨床的に疑われてもならない。

また尿検査により腎不全のその他の原因(例,糸球体腎炎,高血圧緊急症)が示唆されてもならない。尿検査では,尿沈渣にわずかながらの細胞または円柱が認められるはずで,タンパク質排泄量は通常1g/日未満である(ときにより高く,ネフローゼレベルである)。

腎不全の他の原因を除外するため,超音波検査を施行すべきである。腎臓の縮小が明らかになることがある。腎生検は依然として診断がつかない場合にのみ施行する。

高血圧性細動脈腎硬化症の治療

  • 降圧薬

治療としては厳格な血圧コントロールを行うとともに,必要に応じて降圧薬を使用する。現在推奨されている目標血圧は,大半の患者で120~130/80mmHg未満である(1, 2)。大半の専門家は,タンパク尿を呈する患者にアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を使用することを提案している。カルシウム拮抗薬とサイアザイド系利尿薬も第1選択薬として用いることができ,大半の患者は血圧コントロールのために多剤併用療法を必要とする。減量,運動,塩分および水分の制限もまた血圧コントロールに役立つ。慢性腎臓病は適切に管理すべきである。

治療に関する参考文献

  1. 1.Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Blood Pressure Work Group: KDIGO 2021 clinical practice guideline for the management of blood pressure in chronic kidney disease.Kidney Int 99(3S):S1-S87, 2021. doi: 10.1016/j.kint.2020.11.003

  2. 2.Whelton PK, Carey RM, Aronow WS, et al.2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines. Circulation.2018;138(17):e484-e594.doi:10.1161/CIR.0000000000000596

高血圧性細動脈腎硬化症の予後

予後は,通常血圧コントロールの適切性および腎不全の程度により異なる。

要点

  • 慢性高血圧は高血圧性細動脈腎硬化症を引き起こす可能性があり,それにより慢性腎臓病や,まれに腎不全につながることがある。

  • 慢性高血圧が慢性腎臓病の発症に先行している場合は,本疾患の可能性を疑う。

  • 腎不全の他の原因を検出するため,超音波検査を施行する。

  • 大半の患者は,血圧をコントロールするためにアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬のほか,ときにその他の薬剤も使用して治療する。

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