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マロリー-ワイス症候群は,嘔吐,レッチング,または吃逆に起因する下部食道および近位胃の非穿孔性粘膜裂傷である。
(食道疾患および嚥下障害の概要も参照のこと。)
マロリー-ワイス症候群の裂傷
Image provided by David M. Martin, MD.
マロリー-ワイス症候群は,当初はアルコール使用症の患者で報告されたが,激しい嘔吐をする患者なら誰にでも起こりうる。上部消化管出血の原因の約5%を占める。裂傷に伴い下胸部に疼痛がみられることもある。
マロリー-ワイス症候群の診断は,非血性の嘔吐後に吐血を認める典型的な病歴から臨床的に示唆される。このような場合,出血量が最小限で患者の状態が安定していれば,検査を延期してもよく,患者によっては退院させることもできる。それ以外の状況で,病歴が不明であるか出血が持続している場合は,典型的には上部消化管内視鏡検査と臨床検査による標準的な消化管出血の評価を行うべきである。上部消化管内視鏡検査は,出血を抑えるために裂傷を覆うクリップを留置できるため,治療にもなりえる。
大半の出血は自然に止まるが,輸血または内視鏡的止血(クリップ留置,エタノールもしくはアドレナリンの注入,または電気焼灼による)などの重大な介入を必要とする重度の出血が約10%の患者に起こる。また,出血をコントールするために,血管造影下にバソプレシン動脈内注射または左胃動脈の治療的塞栓術を行ってもよい。外科的修復が必要になることはまれである。
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