肛門鏡検査とS状結腸鏡検査

執筆者:Jonathan Gotfried, MD, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
レビュー/改訂 2023年 3月
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    肛門鏡検査も参照のこと。)

    肛門鏡検査およびS状結腸鏡検査は,直腸または肛門に関連する症状(例,鮮血の下血,分泌物,突出,疼痛)を評価するために行われる。さらにS状結腸鏡検査により,結腸組織の生検と止血や腸管内ステント留置などの介入の実施も可能である。考慮すべき通常の内視鏡検査に対する禁忌以外に,絶対的禁忌はない。その他の相対的禁忌としては,最近の肛門手術,肛門狭窄,直腸周囲膿瘍の疑いなどがある。

    肛門周辺部と遠位直腸は7cm(典型的には直径19mm)の肛門鏡で,直腸とS状結腸は25cmの硬性S状結腸鏡または60cmの軟性S状結腸鏡で検査できる。S状結腸内視鏡検査の方が,患者にとってはるかに快適で,組織の写真撮影および生検を簡単に行うことができる。硬性S状結腸鏡を患者に苦痛を与えずに直腸S状結腸移行部(15cm)を越えて通過させるには,相当の熟練を必要とするため,この機器はあまり使用されなくなっている。

    S状結腸鏡検査は,浣腸で直腸を空にしてから行う。鎮静薬の静注は,重度の肛門痛がなければ,通常は不要である。患者を左側臥位にする。外部の視診と直腸指診を行った後,潤滑剤を塗布した器具を肛門括約筋から愛護的に挿入し,直腸およびS状結腸まで進める。

    肛門鏡検査は前処置なしで施行することができる。通常は患者を左側臥位にして,肛門鏡全体を挿入する。手技が適切に行われた場合,肛門鏡検査での合併症の発生は極めてまれである。

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