MUTYH関連ポリポーシス

執筆者:Minhhuyen Nguyen, MD, Fox Chase Cancer Center, Temple University
レビュー/改訂 2021年 3月
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MUTYH関連ポリポーシスは,大腸癌症例の1%未満の原因となる常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)疾患である。臨床像は他の形態の大腸ポリープまたは大腸癌と同様である。診断は遺伝子検査による。患者は大腸内視鏡検査によるサーベイランスと他のがん(特に胃十二指腸,甲状腺,膀胱,卵巣,および皮膚)に対するスクリーニングを受けるべきである。治療は内視鏡的切除またはときに手術による。

MUTYH関連ポリポーシスは,塩基除去修復遺伝子であるMUTYH遺伝子の生殖細胞系列変異によって引き起こされる。最も頻度の高い多様体はY179CおよびG396Dである(1)。患者はホモ接合体または複合ヘテロ接合体である。人口の約1%がいずれか1つの変異を保有する。

患者には通常,60~70歳で多数の大腸ポリープがみられ,半数以上で大腸癌がみられる。10個を超える腺腫を有する患者の7~40%に本症が存在する。

大腸癌に加えて,胃十二指腸腺腫,骨腫,デスモイド腫瘍,皮脂腺腫瘍を伴うMuir-Torre表現型,および先天性網膜色素上皮肥大(家族性大腸腺腫症患者でもみられる特徴)のリスクが高い。卵巣がん,膀胱癌,甲状腺癌,および皮膚悪性腫瘍の発生リスクも高い。

MUTYH関連ポリポーシスは大腸ポリープまたは大腸癌と類似の症状および徴候を引き起こし,腫瘍の評価法および治療は同様である。

総論の参考文献

  1. 1.Sieber OM, Lipton L, Crabtree M, et al: Multiple colorectal adenomas, classic adenomatous polyposis, and germ-line mutations in MYH.N Engl J Med 348:791–799, 2003.doi: 10.1056/NEJMoa025283

遺伝子検査

(American College of Gastroenterologyの遺伝性消化器癌症候群の遺伝子検査および管理に関する診療ガイドラインも参照のこと。)

診断を確定するには遺伝子検査が必要である。

患者の配偶者にMUTYH遺伝子の検査を行えば費用対効果が高い場合がある;もし配偶者がヘテロ接合体であれば,その子どもに本症の遺伝子検査を行うべきである。

スクリーニング

患者は大腸内視鏡検査によるサーベイランスを25~30歳から1~2年毎に受けるべきである。また,30~35歳から上部消化管内視鏡検査を受け始めるべきである。この検査の頻度は胃十二指腸ポリープの有無に応じて異なる。胃底腺ポリープは生検を施行し異形成について確認すべきである。

身体診察と超音波検査による年1回の甲状腺スクリーニングも推奨される。患者はまた卵巣がん,膀胱癌,および皮膚がんのサーベイランスを必要とする。

片側アレルの保因者には,大腸内視鏡検査による大腸癌のスクリーニングを40歳から開始し,5年毎に行う(第1度近親者に大腸癌患者がいる個人と同様)。

MUTYH関連ポリポーシスの治療

  • 内視鏡的切除

  • ときに外科的切除

内視鏡的管理(例,ポリープ切除術,粘膜切除術)がMUTYH関連ポリポーシスの主な治療である。

癌が存在するかポリープの量が多すぎる場合は,外科的切除が必要である。手術の選択肢は大腸部分切除,大腸亜全摘,または大腸全摘であり,病巣の進展範囲と量に応じて選択する。

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. American Gastroenterological Association: Guidelines for genetic testing and management of hereditary gastrointestinal cancer syndromes

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