骨盤内炎症性疾患とは何ですか?
骨盤内炎症性疾患は、子宮、卵巣と子宮をつなぐ管(卵管)、またはその両方の感染症です。骨盤内炎症性疾患は卵巣(卵子が入っている生殖器)や血流にも広がることがあります。
性交のときにうつる性感染症は骨盤内炎症性疾患の原因になります。
腟(産道)の細菌が子宮に入ります。
あなたはおなかの下のほうが痛くなり、ふつうはおりもの(腟から出るネバネバした液体)が出ます。
骨盤内炎症性疾患になると妊娠することが難しくなります(不妊症)。
骨盤内炎症性疾患はふつう、性的に活動的な女の人に起こり、とても深刻になることがあります。
医師は抗菌薬で骨盤内炎症性疾患を治療します。
骨盤内炎症性疾患の原因は何ですか?
骨盤内炎症性疾患にはどのような症状がありますか?
骨盤内炎症性疾患の最初のころの症状
おなかの下のほうの痛み(片側がもう一方より痛いことがあります)
月経のとき以外の性器出血
おりもの(においがすることがあります)
後から現れる骨盤内炎症性疾患の症状
おなかの下のほうのとても強い痛み
発熱(ふつうは38.9度未満ですが、それより熱が高くなることもあります)
吐き気や嘔吐
黄緑色をしているおりものや膿のようなおりもの
性交のときや尿が出るときの痛み
月経の終わりごろか、月経が終わって数日の間に症状が起こった場合は、骨盤内炎症性疾患が疑われます。重い骨盤内炎症性疾患でも症状が軽かったり、まったく症状がなかったりすることがあります。
骨盤内炎症性疾患はほかの病気を引き起こす可能性がありますか?
はい、あります。骨盤内炎症性疾患の感染が、おなかの中や肝臓の周りに広がることがあります。卵管に膿がたまること(膿瘍)があります。
骨盤内炎症性疾患では卵管に瘢痕組織ができることがあります。この瘢痕組織があると、妊娠することが妨げられるかもしれません。おなかの中に瘢痕組織ができると(癒着)、腸が瘢痕組織に巻きこまれ、ねじれて閉じてしまうことがあります(腸閉塞)。
また、骨盤内炎症性疾患にかかったことがある人が妊娠すると、異所性妊娠になる可能性がとても高くなります。異所性妊娠では、赤ちゃんが子宮の外で成長します。赤ちゃんが子宮ではなくどちらかの卵管で成長した場合、数週間後には赤ちゃんが大きくなって卵管が裂けてしまいます。赤ちゃんは死んでしまって、卵管からたくさん出血してあなたも死んでしまうかもしれません。
医師はどのようにして、私が骨盤内炎症性疾患かどうかを判断しますか?
医師はあなたに質問し、ふつうは内診をします。内診では腟鏡という小さな器具で医師が腟を開き、中を診察します。医師は次のことをする場合があります:
綿棒を使って子宮頸部から液のサンプルを取り、淋菌感染症とクラミジア感染症の検査をする
血液検査をする
医師が、あなたの卵管に膿がたまっているかもしれない、もしくはあなたが妊娠しているかもしれない、と考えた場合、ふつうは超音波検査をします。
医師は骨盤内炎症性疾患をどのように治療しますか?
骨盤内炎症性疾患の原因として、性感染症(淋菌感染症とクラミジア感染症)が最も可能性が高いため、医師は性感染症を治療する抗菌薬を処方します。あなたはふつうは注射を1回受け、数週間、家で抗菌薬を飲みます。48時間以内に具合がよくなりはじめなければ、病院に行く必要があるかもしれません。次の場合は、すぐに病院で治療をすることもあります:
あなたに重い症状や高熱がある
あなたの卵管に膿瘍がある
あなたが嘔吐していて口から薬を飲めない
あなたが骨盤内炎症性疾患を治療するための薬を使っている場合は、次の2つを満たすまで性交をしないでください:
薬を飲み終わる
医師があなたの感染症は治ったと言う
骨盤内炎症性疾患はどうすれば予防できますか?
骨盤内炎症性疾患は必ず予防できるわけではありませんが、次のことをするとあなたがこの病気になる危険性が少なくなります:
性交の相手はパートナー1人だけにする
性交のときはコンドームと殺精子剤の両方を使う