前置血管ぜんちけっかん

• 胎盤たいばんは、妊娠にんしんすると子宮しきゅうの中なかの上うえのほうにできる器官きかんです。

• 胎盤たいばんにはたくさんの太ふとい血管けっかんがあり、あなたから赤あかちゃんへ酸素さんそと栄養えいようを運はこんでいます。

• 胎盤たいばんの血管けっかんは、胎盤たいばんと赤あかちゃんをつなぐへその緒おを作つくっています。

• 赤あかちゃんが生うまれてからおよそ15分後ふんごに、胎盤たいばんが子宮しきゅうからはがれて腟ちつから出でてきます。

• それが「後産あとざん」ともいわれる理由りゆうです。

前置血管ぜんちけっかんでは胎盤たいばんの血管けっかんに問題もんだいがあります。前置血管ぜんちけっかんでは：

• 胎盤たいばんの血管けっかんは胎盤たいばんからへその緒おに直接ちょくせつつながるっているはずですが、そうでないものがあります。

• そのような血管けっかんは異常いじょうな場所ばしょにあり、赤あかちゃんをつつんでいる膜まく（羊膜腔ようまくくう）を通とおっています。

• 陣痛じんつうが始はじまると羊膜腔ようまくくうが破やぶれ、羊水ようすいがもれ出だします―これを「破水はすい」といいます。

• 破水はすいすると、異常いじょうな場所ばしょにある血管けっかんが破やぶれることがあります。

• こうなると赤あかちゃんが大量たいりょうの血液けつえきを失うしなうことがあり、死しんでしまうことさえあります。

前置血管ぜんちけっかんとは

前置血管ぜんちけっかんとは、赤あかちゃんから胎盤たいばんにつながる血管けっかんが、赤あかちゃんをつつんでいる膜まくが産道さんどうへの入いり口ぐち（子宮頸部しきゅうけいぶの開口部かいこうぶ）に重かさなる部分ぶぶんを通とおっている状態じょうたいです。出産しゅっさんの始はじまりが近ちかづいて赤あかちゃんをつつんでいる膜まくが破やぶれると、これらの血管けっかんが破やぶれる可能性かのうせいがあります。

• ふつうは陣痛じんつうが始はじまってすぐ、破水はすいしたときに痛いたみがない性器出血せいきしゅっけつがみられることがあります。

• 赤あかちゃんの心拍数しんぱくすうが低ひくくなることがあります。

妊娠中にんしんちゅうの早はやい時期じきに必かならず行おこなう超ちょう音波検査おんぱけんさで胎盤たいばんの問題もんだいが分わかったときに、医師いしが前置血管ぜんちけっかんではないかと疑うたがうことがあります。超ちょう音波検査おんぱけんさでは、音波おんぱを利用りようして子宮しきゅうの中なかの動画どうがを作つくり出だします。ふつうは腟ちつに器具きぐを入いれて行おこなうさらにくわしい超ちょう音波検査おんぱけんさで、あなたに前置血管ぜんちけっかんがあることを確たしかめることができます。

出産前しゅっさんまえに前置血管ぜんちけっかんと診断しんだんされた場合ばあいには：

• 医師いしが週しゅうに2回かいあなたを診察しんさつし、赤あかちゃんの様子ようすを確たしかめます。

• 医師いしがいつでも赤あかちゃんの様子ようすを確たしかめられるように、妊娠にんしん30～32週しゅうで入院にゅういんすることがあります。

• 赤あかちゃんの肺はいの成長せいちょうを助たすけるために、コルチコステロイドという薬くすりが出だされることがあります。

• 妊娠にんしん32～35週しゅうの間あいだで、赤あかちゃんの肺はいが十分じゅうぶんに発達はったつしている場合ばあい、医師いしは出産しゅっさんのための手術しゅじゅつの予定よていを立たてようと提案ていあんすることがあります。

出産しゅっさんのための手術しゅじゅつは帝王切開ていおうせっかいといいます。次つぎの場合ばあいは、緊急きんきゅうの帝王切開ていおうせっかいをすることがあります：

• あなたに大量たいりょうの性器出血せいきしゅっけつがある

• 破水はすいした

• 赤あかちゃんの命いのちが危険きけんにさらされている

• 陣痛じんつうが始はじまる前まえにあなたが前置血管ぜんちけっかんと診断しんだんされていなかった