感染症とはどのような病気ですか?
感染症とは、微生物が体の一部に入りこんで、具合が悪くなる病気のことです。
微生物とは何ですか?
微生物はどこからやって来きますか?
微生物は、ほぼどこにでもいます。何千もの種類があります。人の皮膚の表面や、口、腸、性器(特に腟)の中に住みついている微生物もいれば、ふだんは地面の上や水の中で生きていて、人の体の中に入ってくる微生物もいます。
すべての微生物が病気を引き起こすのですか?
微生物の多くは感染症を引き起こしません。なかには役に立つものもあります。人の皮膚の表面や体の中に住みついている微生物の多くは正常なもので、害はありません。そのようなものを常在菌といいます。
それ以外の微生物は、健康なときは体の表面や体の中に住みついていませんが、人を病気にすることがあります。たとえば、肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルス(HIV)です。
感染症にはどのようにしてかかるのですか?
感染症は、有害な微生物が体の中に入りこむことで起こります。次の経路で体に入りこみます:
鼻や口から
皮膚の切り傷、ひっかき傷、かみ傷から
感染したパートナーとの性的なふれあいから
微生物が入ったものを食べたり飲んだりすると、微生物が口から体の中に入ってしまう可能性があります。また、微生物でよごれた物にさわった手で鼻や口をさわると、微生物が鼻や口から体の中に入ってしまう可能性があります。
有害な微生物が体の中に入りこむと、その数が増えて、病気を引き起こします。
ときに、体の中の正常な微生物が通常とはちがう場所に入りこむことがあります。たとえば、腸の中の正常な細菌が膀胱や血液の流れの中に入ると、感染症を引き起こすことがあります。
人の体は感染症をどのようにして防いでいるのですか?
人の体には、次のように感染症から身を守る方法がたくさん備わっています:
皮膚は、微生物が体の中に入るのを防いでいます。
鼻、のど、目、腟、腸の粘液は、微生物を洗い流しますし、微生物を殺す物質が含まれています。
免疫系は、体の中の微生物を攻撃します。
発熱(体温が上がること)は、微生物を撃退するのに役立ちます。
免疫系は、白血球という細胞を使って、有害な微生物を見分けています。一部の白血球は、微生物を直接殺します。また、微生物を殺す抗体という物質をつくる白血球もあります。
感染症になる危険性が高いのは、どのような人ですか?
赤ちゃんやとても高齢の人は、感染に対する抵抗力があまり強くないので、感染症になる可能性がほかの人たちより高いです。
ほかにも次のようなことで、感染症になる危険性が高くなります:
エイズ、がん、糖尿病などの免疫の働きを弱める病気
がんの化学療法やコルチコステロイドなど、免疫の働きをさまたげる薬
点滴、尿を出すための管(カテーテル)、気管に入れる呼吸チューブ、人工関節など、体の中に入れる医療機器
がんに対する放射線療法
感染症にはどのような症状がありますか?
現れる症状は次のことがらによって変わります:
感染症を引き起こした微生物の種類
影響が出ているのが体の1つの部分だけか、多くの部分か
体の一部だけの感染なら、ふつうは痛みが出ます。たとえば、肺の感染症(肺炎)になると、胸に痛みが出ることがあります。脳の感染症では頭痛が起きます。皮膚の下で感染症(皮膚膿瘍)が起きると、その部分が腫れて、赤くなり、痛みが出ることがあります。
体の多くの部分に影響を与える感染症は、いろいろな症状を引き起こします。よくある全身の症状としては、次のものがあります:
体に力が入らず、疲れを感じる
食欲がわかない
全身が痛い
長い間治療していない感染症がある場合、体重が減ることがあります。
医師は私が感染症かどうかをどのようにして判断しますか?
医師は、あなたの症状から感染症を疑います。ふつう、かぜや皮膚の感染症など、よくある感染症については、検査をしません。そのほかの感染症については、医師がサンプルを検査室に送って、微生物を探す検査することが多いです。感染が起きていると考えられる部分に応じて、次のサンプルを送ることがあります:
血液
尿
たん(せきといっしょに吐き出される粘液)
のど、陰茎、または腟の内側をこすった綿棒
医師は感染症をどのように治療しますか?
人の体には、一部の感染症を自然に撃退する力が備わっています。
それ以外の感染症については、医師は微生物を殺すための薬で治療します。ペニシリンなどの抗菌薬は、細菌を殺す薬です。
深刻な感染症の場合は、入院する必要があります。
感染症はどうすれば予防できますか?
感染症を予防するために:
特に食べものをあつかう場合や、大勢の人とふれあう場合は、頻繁に手を洗いましょう。
医師から必要だと言われた予防接種を受けましょう。