甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょう

甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうは、あなたの甲状腺こうじょうせんの活動かつどうが多おおすぎて、あなたの体からだが必要ひつようとするよりも多おおくの甲状腺こうじょうせんホルモンをつくり出だす状態じょうたいです。

• 心拍しんぱくが速はやくなったり、血圧けつあつが高たかくなったり、体重たいじゅうが減へったりするなどの症状しょうじょうがあります。

• 血液検査けつえきけんさで甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうかどうかが分わかります。

• 甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうには、ふつう、薬くすりが役やくに立たちます。

• 甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうはおよそ100人にんに1人ひとりの割合わりあいで起おきます。

甲状腺こうじょうせんクリーゼはとても重おもい甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうで、甲状腺こうじょうせんから急きゅうに危険きけんな量りょうのホルモンが出でたときに起おきます。この病気びょうきはふつう、感染かんせんや心臓発作しんぞうほっさ、脳卒中のうそっちゅう、手術しゅじゅつ、またはとても強つよいストレスによって引ひき起おこされます。これは急いそいで治療ちりょうしなければ命いのちにかかわる可能性かのうせいのある緊急事態きんきゅうじたいです。

よくある原因げんいんには次つぎのものがあります：

• バセドウ病びょう

• 甲状腺こうじょうせんの炎症えんしょう（甲状腺炎こうじょうせんえん）

• 甲状腺こうじょうせんにできたかたまり（結節けっせつ）

• 一部いちぶの薬くすり

バセドウ病びょうでは、体からだの免疫系めんえきけいが誤あやまって甲状腺こうじょうせんを攻撃こうげきします（自己免疫疾患じこめんえきしっかん）。ほとんどの自己免疫疾患じこめんえきしっかんでは、体内たいないのいろいろな活動かつどうが止とまってしまいます。しかしバセドウ病びょうでは、免疫系めんえきけいの攻撃こうげきによって甲状腺こうじょうせんの働はたらきがさらに活発かっぱつになり、甲状腺こうじょうせんホルモンがもっとつくられるようになります。

甲状腺炎こうじょうせんえんは、特定とくていのウイルス感染症かんせんしょうや甲状腺こうじょうせんに炎症えんしょうを起おこすそのほかの病気びょうきによって起おこります。炎症えんしょうを起おこした甲状腺こうじょうせんの傷きずついた細胞さいぼうが、余分よぶんな甲状腺こうじょうせんホルモンを放出ほうしゅつすることがあります。

甲状腺結節こうじょうせんけっせつは、甲状腺こうじょうせんにできる小ちいさなかたまりで、多おおくの場合ばあい、遺伝性いでんせいの病気びょうきから起おこります。結節けっせつの中なかには、甲状腺こうじょうせんホルモンを放出ほうしゅつするものがあります。甲状腺こうじょうせんがんも、小ちいさなかたまりですが、甲状腺こうじょうせんホルモンをつくることはほとんどありません。

甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうの症状しょうじょうは、ふつう、体からだの働はたらきの速度そくどが上あがることに関連かんれんしています。そのため、次つぎのようなことが起おきます：

• 高血圧こうけつあつ

• 心拍しんぱくが速はやくなり動悸どうき（心拍しんぱくの異常いじょうな感かんじ）がする

• たくさん汗あせをかいて、いつもとても暑あつく感かんじる

• 手てがふるえる

• 神経質しんけいしつになって、不安ふあんを感かんじる、眠ねむれない

• 体重たいじゅうが減へる

• 排便はいべんの回数かいすうが増ふえて、ときどき下痢げりになる

• 女性じょせいでは、月経げっけいが不規則ふきそくになったり起おこらなかったりする

甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうを引ひき起おこす病気びょうきの中なかには、甲状腺こうじょうせんの腫はれや痛いたみを引ひき起おこすものがあります。

甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうの高齢者こうれいしゃでは、症状しょうじょうがあまりはっきりしないことがあります。高齢者こうれいしゃの症状しょうじょうには次つぎのようなものがあります：

• 力ちからが入はいらない

• 頭あたまが混乱こんらんする

• 体重たいじゅうが減へる

• 抑よくうつ

バセドウ病びょうの人ひとでは、目めに次つぎのような問題もんだいが起おこることがあります：

• 目めが前まえにつき出でる

• 目めが赤あかくなる

• ドライアイになる

• ときに、目めがかすんだり物ものが二重にじゅうに見みえたりする

医師いしは次つぎのことをします：

• 血液検査けつえきけんさや甲状腺こうじょうせんの画像検査がぞうけんさなどの甲状腺機能検査こうじょうせんきのうけんさ

治療ちりょうは甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょうの原因げんいんによって異ことなります。

医師いしは次つぎのもので治療ちりょうを行おこないます：

• 症状しょうじょうをコントロールするためのベータ遮断薬しゃだんやくなどの薬くすり

• 甲状腺こうじょうせんが甲状腺こうじょうせんホルモンをつくらないようにするための薬くすり

場合ばあいによって医師いしは、甲状腺こうじょうせんがそれ以上いじょうホルモンをつくらないよう完全かんぜんに働はたらき止とめる必要ひつようがあります。甲状腺こうじょうせんの働はたらきを止とめるには次つぎのような方法ほうほうがあります：

• 手術しゅじゅつで甲状腺こうじょうせんの一部いちぶか全部ぜんぶを取とり除のぞく

• 甲状腺こうじょうせんを壊こわしてしまう放射性ほうしゃせいヨウ素そを大量たいりょうに投与とうよする

手術しゅじゅつや放射性ほうしゃせいヨウ素そによる治療ちりょうを受うけた後あとは、体からだが甲状腺こうじょうせんホルモンをつくらなくなるため、甲状腺こうじょうせんホルモンの飲のみ薬ぐすりを使つかう必要ひつようがあります。