心の病気とは何ですか?
心の病気には、思考、感情、行動に関する、とても多くの病気が含まれます。
人はだれしも、心を乱されたり、ふつうではない考えをもったり、強い感情を経験したりすることがあるものです。また、ほかの人が変だと感じる行動をする人も、たくさんいます。しかし、心の病気がある人では、そのような思考、感情、行動があまりに多くみられるか、あまりに強いために、ふだんの生活に深刻な問題が起きたり、強くうろたえたりします。
心の病気には多くの種類があります。
心の病気は、短い期間で治ることもあれば、長い間続くこともあります。
心の病気とふつうの心配や悲しみのちがいを見分けるのは、ときに難しいこともありますが、心の病気の症状は、より重く、長く続き、その人がうまく生きていく能力に大きな影響を与えます。
ほぼ半数の大人が、生きている間に一度は心の病気になりますが、なかでも最も多い病気はうつ病です。
おもな治療法は、薬とカウンセリング(対話療法)です。
家族、友だち、そしてサポートグループは、心の病気のある人が、その病気に対処する手助けをすることができます。
心の病気にはどのような種類がありますか?
心の病気の原因は何ですか?
心の病気はおそらく、次のような多くのことがらが組み合わさって、引き起こされます:
遺伝する要因―心の病気になりやすい体質が家族の中で受けつがれている
生活でのストレス
その人が生きている環境や文化
脳に影響を与える健康上の問題
仕事を失うこと、離婚すること、薬を飲みすぎることなど、たくさんのストレスが心の病気の危険性を高めます。
生まれるときに起きた異常や、ウイルスによる脳の感染症(脳炎)など、赤ちゃんの脳に影響を与える一部の病気は、その子が成長してから心の病気になる危険性を高めます。
心の病気は、その人がなまけ者や無責任な人だから起こるわけではありません。その人がわざとやっている行動でもありません。
心の病気にはどのような症状がありますか?
現れる症状は、起きている問題の種類によってちがいます。次のような症状があります:
人格や行動の大きな変化、特に変化が起きる明らかな理由がない場合
混乱して、思考がぼんやりする
まとまりのない変わったことを考える(考えていることがコロコロと変わったり、簡単な質問にわけの分からない長い答えを返したりするなど)
適切でない行動(人前で服をぬぐなど)
実際にはないものが見えたり、聞こえたりする(幻覚)
反対のことを示した確かな証拠があっても、真実ではないことを信じこむ(妄想)
気分が極端に変わる
医師はどのようにして、ある人が心の病気かどうかを判断しますか?
医師は、その人と話をすることによって、心の病気を診断します。ときには、その人の世話をしている人や家族とも話をすることがあります。
症状の原因が心の病気であることが明らかな場合もあります。たとえば、自分は大統領だと主張したり、脳に埋め込まれた受信機によって自分の思考がコントロールされていると主張したりする人がいます。
いっぽうで、心の病気を正常な反応と見分けるのが難しい場合もあります。たとえば、妻や夫や子どもなど、大切な人が亡くなった後に正常な悲しみをうつ病と見分けるのは難しいですが、それは、どちらの場合も悲しみと気分の落ちこみが起こるからです。同じように、きれい好きな性格やきちょう面な性格と強迫症という病気を分ける基準も、あいまいなことがあります。そのような基準はふつう、次のことに基づいて決められています:
症状がどれくらい重いか
症状がどれくらい続いているか
症状がふだんの生活にどれくらい影響を与えているか