慢性外傷性脳症(CTE)とはどのような病気ですか?
慢性外傷性脳症(CTE)は、時間がたつにつれて脳細胞が壊れていく病気です。この病気は、頭にくり返しけがしたり、爆発で頭にショックを受けたりすることが原因で起こります。頭のけがには、脳しんとうも含まれます。
頭にけがをしてもCTEになる人もいれば、ならない人もいる理由は、医師たちにもよくわかっていません。
CTEの症状としては、気分が落ちこむ、攻撃的になる、混乱する、人格が変わる、素早い動きやはっきり話すことが難しくなる、などがあります。
CTEを治せる治療法はありません。
治療をすると、気分の症状が軽くなり、苦しみが少ない、安全な状態を保ちやすくなります。
CTEは認知症の一種で、認知症とは、おぼえること、考えること、学ぶことが難しくなる脳の病気です。
慢性外傷性脳症の原因は何ですか?
CTEは次のことが原因で起こります:
フットボールやボクシング、そのほかのスポーツなどで、頭にくり返しけがをすること(1回1回のけがは重くなくても、CTEになる可能性があります)
爆発による頭のけが(最も多いのは戦っている兵士のケースです)
慢性外傷性脳症にはどのような症状がありますか?
医師はどのようにして、私が慢性外傷性脳症かどうかを判断しますか?
医師は、頭に何度もけがをした人や大きな爆発を経験した人にCTEの症状が現れた場合に、CTEを疑います。
CTEの診断を確認できる検査はありませんが、医師はCT検査など、脳の画像検査を行います。それらの画像検査は、同じような症状が出るほかの病気がないかどうかを、医師が確認するのに役立ちます。CTEであることを確実に確かめるには、患者さんが亡くなった後で脳を調べるしか方法がありません。
医師は慢性外傷性脳症をどのように治療しますか?
CTEを治せる治療法はありませんが、次の対応が助けになります:
安全な生活環境を整えて、日々の日課を規則的に行うようにする
まわりの人や介護者が変わるときは、そのことをはっきりと説明する
カウンセリング
症状を軽くする薬
CTEになる可能性を減らすために、脳しんとうを起こした人は、体を動かさず静かにして、しばらくは運動をしないようにするべきです。
CTEの人は、ものごとを判断するのが難しくなる前に、治療、お金、法律に関する決定を、できるだけ多くすませておくのがよいでしょう。これには、治療方針を決められなくなったときに、その人の代わりに、治療に関する決定をする人を選んでおくことも含まれます。死が近くなったときにどのような治療を受けたいか(リビングウィルといいます)について、医師と話し合っておくことも必要です。
CTEが悪くなってくると、生きられる期間をのばすことよりも、苦しみを軽くすることが治療の中心になっていきます。
介護する人へのケア
CTEの人もふくめて、認知症の人の介護をするのは、ストレスが多く、大変なことです。介護する人が疲れはてて、うつ状態になり、自分の心や体の健康に気が回らなくなることがよくあります。介護する人には次のことが大切です:
認知症の人が必要としていることを学び、認知症の人に期待してよいことを知る
必要なら、デイケアプログラム、在宅看護、家事の手伝い、住みこみでの支援、カウンセリング、サポートグループなどのサービスを受ける
定期的に友だちと会ったり、好きなことをしたり、活動に参加したりするなど、時間を自分のために使う