アルツハイマー病とはどのような病気ですか?
アルツハイマー病は、ふつうは65才以上の人がかかる、認知症の一種です。認知症とは、おぼえること、考えること、言葉を理解すること、何かを学ぶことが難しくなる、脳の病気です。
脳の問題は、時間がたつほど悪くなっていきます。アルツハイマー病の人は、最後には、人の助けがないとふだんの生活を送れないようになります。
脳は年をとるにつれて変化していくものですが、アルツハイマー病になると、脳の組織が傷つきます。
65才以上の人、女性、家族にこの病気の人がいる人は、アルツハイマー病になる可能性が、ほかの人より高いです。
最初は、最近のできごとが思い出せなくなり、時間がたつにつれて、記憶力が少しずつ悪くなっていきます。
大半の人は、アルツハイマー病と診断されてから7年くらいで亡くなります。
医師は症状と診察やほかの検査の結果から、アルツハイマー病を疑います。
一部の人には記憶力を保つのに薬が役立ちます。
アルツハイマー病の原因は何ですか?
アルツハイマー病は、脳の中に異常な物質がたまることが原因で起こると考えられています。それらの物質によって脳細胞の働きが妨げられ、脳細胞は最後には死んでしまいます。死んでいく脳細胞が多いほど、脳の働きが悪くなっていきます。異常な物質がたまっていく原因は、医師にもよく分かっていません。この病気は家族の中で遺伝するとみられています。
アルツハイマー病にはどのような症状がありますか?
アルツハイマー病は、多くの症状を引き起こしますが、それらはほかのタイプの認知症の症状と同じです。しかし、アルツハイマー病の人は、最近のできごとを思い出すのが特に難しくなることがあります。
アルツハイマー病になると、次のことが難しくなります:
おぼえること
言葉を使うこと
人格
明瞭に考えること
これらの問題のために、買いもの、食事の準備、お金の管理といった、いつもしている作業が難しくなります。問題のある行動をして、トラブルを起こすようになることもあります。
アルツハイマー病になってすぐに現れる症状:
起きたばかりのできごとを忘れる
気分のふさぎこみ、おそれ、不安、感情が少なくなる
ものごとを決められない
話すときに正しい言葉を選べない
見たり聞いたりしたことで混乱する
車の運転が難しく感じる
ねつきが悪い、すぐに目が覚める
アルツハイマー病の遅れて現れる症状:
過去のできごとを思い出せない
よく知っている人や物を認識できない
うろうろと歩き回る
怒りっぽくなり、人にどなったり、人をなぐったりする
時間や場所がわからなくなる
食事、着がえ、入浴など、日々の生活に助けが必要になる
排尿をがまんできない
アルツハイマー病の人では、最終的に、脳のほぼすべての機能が失われます。その人は寝たきりになり、体を動かすこともできなくなります。やがて、口に入れてもらった食べたものを飲み込むこともできなくなります。
医師はどのようにして、ある人がアルツハイマー病かどうかを判断しますか?
医師はアルツハイマー病をどのように治療しますか?
医師は次のことをします:
記憶を助ける薬を出す
その人が安全に過ごせるようにし、ふだんの生活を送るのに必要な手助けをする
アルツハイマー病の人は、楽しくて静かな環境にいると、最も調子がよくなります。介護をする人に食事、睡眠、活動について規則的な習慣を守ってもらうことが、助けになります。
介護する人へのケア
アルツハイマー病の人もふくめて、認知症の人の介護をするのは、ストレスが多く、大変なことです。介護する人が疲れはてて、うつ状態になり、自分の心や体の健康に気が回らなくなることがよくあります。介護する人には次のことが大切です:
認知症の人が必要としていることを学び、認知症の人に期待してよいことを知る
必要なら、デイケアプログラム、在宅看護、家事の手伝い、住みこみでの支援、カウンセリング、サポートグループなどのサービスを受ける
定期的に友だちと会ったり、好きなことをしたり、活動に参加したりするなど、時間を自分のために使う
アルツハイマー病はどうすれば予防できますか?
医師たちは、次のことがアルツハイマー病の予防に役立つと考えています:
脂肪を食べる量を減らし、必要な薬を飲むことで、血液の中のコレステロールの量を正常なレベルに保つ
血圧を正常なレベルに保つ
体を動かす
クロスワードパズルをする、新聞を読む、新しい技能を学ぶなどの活動を通して、精神的な活発さを保つ
お酒を飲む量を1日3ドリンク未満にする【訳注:「1ドリンク」とは、日本ではアルコール量で10g、アルコール度数5%のビールで250mL程度の量とされています】。ただし、アルコールは症状を悪化させる可能性があるので、いったんアルツハイマー病と診断されたら、お酒は少しも飲まないようにするのが最善です。