パーソナリティ症とはどのような病気ですか?
パーソナリティとは、考え、理解、反応、人との関わりについての、その人独自のやり方のことです。ふつうではないパーソナリティをもっているように見える人はたくさんいます。しかし、そうした人にパーソナリティ症があるとみなされるのは、そのパーソナリティが次のことに当てはまる場合だけです。
仕事や学校で大きな問題を引き起こしている
ほかの人とふつうに関われない
問題を引き起こしているのに、態度を変えたり、調整したりすることができない
パーソナリティ症の人はふつう、自分には何も問題がないと思っています。離婚や失業など、パーソナリティ症があることによる結果に、動揺することはあります。しかし、そのような問題はほかの人のせいで、自分のせいではないと考えます。ほかの人にとっては、ふつう、パーソナリティ症のある人に対処するのは難しいことです。
パーソナリティ症のある人の多くは、次のようなほかの問題もかかえています。
パーソナリティ症の原因は何ですか?
パーソナリティ症は、次の両方によって引き起こされます。
遺伝子(親から受けつぐ特徴)
環境(家庭生活や社会経験など)
パーソナリティ症にはどのような症状がありますか?
症状はふつう、青年期に始まります。年をとるにつれて、症状がよくなっていくことがあります。生涯にわたって問題をかかえる人もいます。
パーソナリティ症にはさまざまな種類があります。それぞれで症状がちがいます。しかし、ほとんどのものでは、たとえば次のような人間関係の問題が起こります。
安定した親しい関係を作ることができない場合があります。
失礼に見えたり、冷たく見えたりするやり方で行動する場合があります。
家族やほかの人は、その人になやまされたり、混乱させられたり、いらだちを感じたりすることがあります。
人間関係の問題があると、次のことが難しくなる可能性があります。
結婚をして、続けること
子どもを育てること
仕事を続けること
パーソナリティ症の人はふつう、自分の問題を自分自身が引き起こしていることに気づいていません。
パーソナリティ症にはどのような種類がありますか?
10種類のパーソナリティ症があり、それらは次のように、その人の全体的なパーソナリティのスタイルに応じて、大きく3つのカテゴリーに分けられています。
奇妙または常軌を逸している
猜疑性パーソナリティ症:人を信じず、疑い深い
シゾイドパーソナリティ症:無関心で、感情を表さない
統合失調型パーソナリティ症:奇妙でまとまりのない思考
とても大げさで、予測できない
反社会性パーソナリティ症:人を見下し、冷酷で、衝動的
ボーダーラインパーソナリティ症:気分の変動が激しく、人に見捨てられることをおそれる
演技性パーソナリティ症:不適切に大げさで、人を誘惑する
自己愛性パーソナリティ症:誇大妄想をもっていて、自分のことに夢中、ほかの人を利用する
不安または恐怖
回避性パーソナリティ症:人と関わる状況に不安やおそれを感じる
依存性パーソナリティ症:人にまとわりつき、愛情を強く求める
強迫性パーソナリティ症:完璧主義で、がんこ
パーソナリティ症の中には、ほかのパーソナリティ症よりも早くから問題を引き起こし始めるものがあります。男女どちらかによく起こるものもあります。
ときには、ある人がもっているパーソナリティ症が1つだけかどうかを判断するのが難しい場合もあります。複数のパーソナリティ症を部分的にもっているように見える人もいます。なかには、この病気のほかにも、不安やうつ病といった心の健康の問題をかかえている人もいます。
パーソナリティ症のある人のほとんどは、世の中でうまくやっていくことができますが、深刻な問題を起こす人もいます。アルコールや薬物、安全でない性行為、犯罪などで問題を起こすことがあります。自分の体を傷つけたり自殺したりしようとすることさえあります。
医師はどのようにして、ある人がパーソナリティ症かどうかを判断しますか?
パーソナリティ症の人はふつう、自分がそうだとは気づきません。そのような人は、多くの場合、自分から助けを求めようとはしません。代わりに、彼らの行動が問題を引き起こしたときに、友人や家族、または社会的機関が病院に行くのを勧めることがあります。
確かめるために、医師はふつう、その人の家族と話をしようとします。全体の様子が分かれば、医師はその人がどのパーソナリティ症なのかが分かります。
医師はパーソナリティ症をどのように治療しますか?
医師はさまざまな種類のパーソナリティ症を、それぞれちがう方法で治療します。カウンセリングや対話療法が治療のとても大切な一部になります。さまざまなパーソナリティ症に対して、それぞれちがった種類のカウンセリングが適切なことがあります。
薬は、抑うつ、不安、気分の変動、奇妙な考えなど、一部のパーソナリティ症で起きる一部の症状を軽くするのに役立つことがあります。しかし、薬ではこの障害は完全には治りません。
家族が治療にかかわることが助けになります。精神科医、看護師、ソーシャルワーカーがチームを組んで対処することが、ひどい問題をかかえている人を支えるのに役立ちます。
変化はゆっくり起こります。行動は1年以内に変化することもありますが、パーソナリティの特性は変化しにくい場合があります。
危険な行動に対しては数日間入院して治療しなくてはいけないことがあります。
治療は次のことをするのに役立ちます。
ストレス、不安、または抑うつをやわらげる
自分の問題の原因がほかの人や状況のせいではないことを理解する
危険な行動や害のある行動をしないようにする
問題の原因になっているパーソナリティ特性を変えようとする