MDMA(3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)は、アンフェタミン類に似ていますが、刺激作用と幻覚作用の両方があります。
MDMA使用の症状
MDMAは興奮と脱抑制(行動のコントロールが弱くなること)を引き起こします。また、身体感覚、共感、人と人との親密さが強調されます。中毒作用は他のアンフェタミン類と似ていますが、頻度は低くなります。これはおそらく、MDMAの使用が断続的である可能性が高いためです。しかしながら、一時的な使用であっても、高体温や低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度が異常に低下した状態)などの重大な問題が起こることがあります。断続的で一時的な使用による影響は分かっていません。まれに、肝不全が起こります。
長期的に繰り返し使用することにより、アンフェタミン類と似た問題(依存など)が生じることがあります。使用者の中には妄想性精神病が発生する人もいます。繰り返し頻繁に使用することにより、精神機能の低下が生じることもあります。
MDMA使用の診断
臨床的評価
MDMAは通常の尿検査では検出されない場合があります。
MDMA使用の治療
精神状態が正常になるまでの経過観察とモニタリング
急性中毒と依存の治療はアンフェタミン類の治療と同様ですが、急性過剰摂取に対する治療が必要になることはそれほどありません。
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
Dual Diagnosis.org:精神衛生上の問題と物質使用障害が併存する人のための情報源で、統合的な治療を提供するファンデーション・リカバリー・ネットワーク(Foundations Recovery Network)のプログラムの情報などが含まれます。
Inpatient.org:薬物嗜癖やアルコール嗜癖に対する入院リハビリテーションプログラムの情報を提供しています。
全米精神障害者家族会連合会(National Alliance on Mental Illness[NAMI]):啓蒙、教育、支援、意識啓発のためのプログラムやサービスを提供している全米の精神医療団体です。
米国国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse:NIDA):薬物使用とその影響に関する科学的調査研究を支援する米国連邦機関による、MDMAに特化した情報です。
米国薬物乱用・精神衛生サービス局(Substance Abuse and Mental Health Services Administration:SAMHSA):行動面の健康を促進する公衆衛生活動を主導し、治療を提供する場所の情報、フリーダイヤルの相談窓口、医療従事者訓練ツール、統計、物質関連の様々な話題に関する出版物などの情報を提供する米国保健福祉省の機関です。