手のひらの骨折は、指の骨と手首の骨の間に位置する骨に起こります。これらの骨は中手骨と呼ばれます。ときに親指の付け根で中手骨が骨折することもありますが、この骨折は通常、別の種類の骨折とされます。
中手骨の骨折は、多くの場合、硬いものを殴ることにより生じます。
指の関節が腫れて圧痛が生じます。
通常は、医師が様々な角度からX線検査を行い、その結果に基づいて骨折を診断します。
治療としては、副子を用い、骨折の種類に応じて、先に折れた骨片を元の位置に戻す（整復）こともあります。
（骨折の概要も参照のこと。）
中手骨の骨折は、硬いもの（壁や人の顎など）を殴ったときに起こることが多いため、よくボクサー骨折と呼ばれます。人を殴ってこの骨折が生じたときに、殴った手が相手の口に入り、皮膚が傷つくことがあります（英語では「fight bite」と呼ばれます）。こうしたケースでは、相手の口内の細菌が傷口から侵入して感染症を引き起こすことがあり、すぐに治療しなければ、手の動作に永続的な障害が生じるおそれがあります。
手のひらの骨折の症状
中手骨の骨折では、指の関節が腫れて圧痛が生じます。ときに、折れた骨片の位置がずれたり回転したりして、指の位置がずれることがあります。
手のひらの骨折の診断
手のひらの骨折の治療
開いた傷口、特に「fight bite」には、感染症を予防するための抗菌薬
ときに折れた骨片の整復
副子
手の負傷した関節付近に傷がある場合は、人を殴ったときにこぶしが相手の口に入った可能性があります。その場合は、傷口を洗浄し、感染症の予防を助ける抗菌薬を投与することがあります。
中手骨の骨折の治療では、副子（尺骨側の溝状スプリントなど）を数週間使用します。副子をあてる前に骨片を元の位置に戻す（整復する）必要があるかどうかは、骨折の種類によって異なります。
尺骨側の溝状スプリント
骨片のずれや回転がひどい場合は、通常、医師は手術なしで骨の位置を整えることができます（非観血的整復）。
骨を元の位置に戻す前に、患者に痛みを感じさせないように以下のいずれかの処置を施すことがあります。
血腫ブロック
尺骨神経ブロック
血腫ブロックでは、皮膚から骨折部の血液が集まっている位置に針を刺します（血腫とは血液が貯留した状態のことです）。その後、リドカイン（麻酔薬）を注入して折れた骨の周囲に麻酔を施します。
尺骨神経ブロックでは、麻酔薬を患部の神経に注射します。この処置によって、神経から脳へ送られる痛みの信号を阻害します。尺骨神経は、肘から小指と薬指へ通っています。
副子を外した後、手と指を可動域いっぱいに動かす運動を徐々に開始します。通常は、手を完全に動かすことができるようになります。
