中足骨の骨折

執筆者:Danielle Campagne, MD, University of California, San Francisco
レビュー/改訂 2022年 12月
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やさしくわかる病気事典

足の中央部の長管骨(中足骨)に骨折が起こることがあります。

中足骨の骨折には、疲労骨折、リスフラン関節脱臼骨折、第5中足骨の骨折など、いくつかの種類があります。(骨折の概要も参照のこと。)

中足骨の疲労骨折

  • 長時間歩いたり走ったりすると、中足骨の疲労骨折が生じることがあります。

  • この骨折があると、足の中ほどに圧痛がみられ、足に全体重をかけた時に痛みます。

  • 疲労骨折は損傷が生じてから2~3週間はX線画像に写らないことがあるため、医師はCT検査やMRI検査を行ったり、骨折しているものとして治療を行い2週間後に再度X線検査を行ったりします。

  • 必要な治療は通常、骨折の原因になった活動や悪化させる活動を中止して松葉杖を使用することだけです。

中足骨の疲労骨折は、いきなり普段より長く、または激しく運動したときなど、長時間歩いたり走ったりしたときに発生することがあります。

疲労骨折の症状

中足骨の疲労骨折では、触れると圧痛があります。足に体重をかけると痛みがひどくなります。

疲労骨折の診断

  • X線検査

  • ときにCTまたはMRI検査

小さな骨折の場合や骨折直後(骨の自己修復が始まる前)にX線検査を行った場合には、疲労骨折がX線画像に写らないことがあります。損傷から約2~3週間後に、骨折を修復するために新しい骨が形成されると疲労骨折がX線画像に写ります(骨の治癒過程を参照)。

疲労骨折を確認するため、ときにCTまたはMRI検査が行われます。(骨折の診断も参照のこと。)

疲労骨折の治療

  • 疲労骨折の原因になった活動や悪化させる活動を避ける

  • 松葉杖の使用

  • ときに保護機能のある靴やブーツ、またはギプス

疲労骨折の発生が早期に見つかった場合は、骨折の原因になった活動や悪化させる運動を中止して松葉杖を使用することしか治療は必要ない場合があります。

場合によっては、足を保護する専用の靴やブーツを履く必要があります。ときにギプスによる固定が必要です。

ウォーキングブーツ
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Image courtesy of Danielle Campagne, MD.

リスフラン関節脱臼骨折

  • リスフラン関節脱臼骨折の多くは、転倒して足を曲げたり強い力が加わったりして発生します。

  • 足の中ほどに痛みと腫れが生じ、圧痛を伴い、ときに足の裏にあざがみられます。

  • 一般的には複数の角度からX線検査を行いますが、多くの場合、この損傷を特定するにはCT検査も必要になります。

  • リスフラン関節脱臼骨折の患者は、骨片を元の位置に戻して保持したり、折れた骨同士を固定させたりする手術のために、一般的には整形外科医に紹介されます。

リスフラン関節脱臼骨折では、第2中足骨が付け根で骨折し、折れた骨片が互いに分離(脱臼)することがあります。リスフラン関節脱臼骨折の多くは、転倒して足を曲げたり足に強い打撃を受けたりして発生します。このけがは、アメリカンフットボール選手、オートバイのライダー、騎手によくみられます。

第2中足骨の骨折

第2中足骨が付け根付近で骨折し、その骨片が互いに分離(脱臼)しています。このけがは、リスフラン関節脱臼骨折と呼ばれます。

リスフラン関節脱臼骨折の症状

リスフラン関節脱臼骨折の症状は軽度の場合も重度の場合もあります。

足の中ほどに痛みと腫れが生じ、圧痛を伴います。重度の場合は足が短く見えることがあり、ときに足の裏にあざがみられます。患部がしびれることもあります。

リスフラン関節脱臼骨折は重篤なけがで、永続的な痛みと関節炎が起こることがあります。 コンパートメント症候群が発生することもあります。患者は生涯にわたって、激しい運動への参加を制限されることがあります。

リスフラン関節脱臼骨折の診断

  • X線検査

  • しばしばCT検査

複数の角度からX線検査が行われますが、このけがは確認が困難な場合があります。多くの場合、リスフラン関節脱臼骨折の診断を下すには、CT検査を併せて行うことが必要です。 CT検査では、けがの具合をより詳細な3次元画像で確認できます。

CTが利用できない場合には、医師が患者に損傷を受けた足で立つように指示してからX線撮影を行うことがあります。骨折している場合、患者の体重によって骨の分離が大きくなるため、折れた骨同士のすき間がX線画像に写り、この損傷を診断することができます。(骨折の診断も参照のこと。)

リスフラン関節脱臼骨折の治療

  • 整形外科医への紹介

  • 折れた骨片を整復する手術、または足の骨を固定する手術

リスフラン関節脱臼骨折の患者は通常、入院し、できるだけ早く整形外科医の診察を受けます。

通常は以下のうちいずれかが必要になります。

  • 観血的整復内固定術(ORIF):ORIFでは、折れた骨片を元の位置に戻し、スクリューや金属のプレートでその場にとどめます。

  • 足の中央部にある骨の固定:固定はORIFに似ています。ORIFの場合と同様に、折れた骨片を元の位置に戻して保持しますが、足の中央部の損傷した骨が成長して1つの硬い骨としてつながるように配置します。

しかし、これらの手術によって必ずしも足が以前の状態に戻るわけではありません。

手術が必要ない場合、ギプスで足を固定し、6週間はその足に体重を一切かけないように指示されます。

第5中足骨の骨折

  • 第5中足骨は、その付け根(足首の近く)か中ほど(骨幹部)で骨折することがあります。

  • この骨折は、足を内側にひねる動き、挫滅損傷(付け根)、繰り返しの負荷や一度の外傷(骨幹部)によって生じることがあります。

  • この骨の付け根が骨折すると、足の外側の端に痛みと腫れが生じ、圧痛を伴います。

  • 通常、付け根の骨折は比較的早く治癒します。

  • 骨幹部が骨折した場合、骨への血流が阻害されることがあり、治癒が遅くなることや骨片が成長して元通りにくっつかないことがあります。

  • 第5中足骨の骨折を診断するために、複数の角度からX線検査を行います。

  • 付け根の骨折の治療としては、通常は松葉杖や保護のために底が硬い靴やブーツを使います。

  • 骨幹部の骨折の治療では、短下肢ギプスや松葉杖で患部の足に体重をかけないようにしたり、ときには手術を行うこともあります。

第5中足骨は、足で最も骨折しやすい骨です。通常、この骨折は次の部位で生じます。

  • 中足骨の付け根(足首の近く)

  • 中足骨の骨幹部(長い中間部)

ジョーンズ骨折と偽性ジョーンズ骨折

付け根の骨折

足を内側にひねったとき、または足が押しつぶされたときに、第5中足骨の付け根が骨折することがあります。このような骨折は、ときにダンサー骨折または偽性ジョーンズ骨折と呼ばれます。

足の外側の端に痛みと腫れが生じ、圧痛を伴います。あざが生じることもあります。

付け根の骨折が疑われる場合は、複数の角度からX線検査を行います。

数日間は、松葉杖や、底の硬い防護用の靴やブーツが必要になることがあります。通常、ギプスは必要ありません。患者は痛みに耐えられるようになればすぐ、歩くように勧められます。

通常、この骨折は比較的早く治癒します。

骨幹部の骨折

骨幹部の骨折は、繰り返しの負荷(疲労骨折)または一度の外傷によって生じます。

この骨折はジョーンズ骨折と呼ばれ、付け根の骨折よりも発生頻度の低いけがです。

この骨折は骨への血液供給を妨げることがあるため、合併症がよく起こります。例えば、骨が元通りに接合しない場合(癒合不全)や、非常に時間がかかる場合(癒合遅延)などがあります。

骨幹部の骨折が疑われる場合は、複数の角度からX線検査を行います。

通常は短下肢ギプスで足首を固定し、松葉杖を使用して、6週間は足に体重を一切かけないようにしなければなりません。

ときに手術を行う必要があり、患者が整形外科医に紹介されます。観血的整復内固定術(ORIF)を行って骨片を元の位置に戻すことがあります。

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