慢性化膿性中耳炎は、鼓膜にあいた穴がふさがらず長期間持続的に膿が出る状態です。
慢性化膿性中耳炎の原因には、急性中耳炎や耳管の詰まりなどがあります。
かぜや耳の感染症、または中耳に水が入った後に再燃することがあります。
患者には通常、難聴と持続的な耳からの排膿がみられます。
医師は外耳道を清掃し、点耳薬を投与します。
重症の場合は抗菌薬と手術が用いられることがあります。
慢性化膿性中耳炎の通常の原因は、急性中耳炎、中耳と鼻の奥をつなぐ耳管の詰まり、鼻のけが、または爆発による傷です。
慢性化膿性中耳炎は、かぜ(感冒)などの鼻やのどの感染の後や、入浴や水泳の際に穴(穿孔)から中耳に水が入った後などに再燃することがあります。通常、再燃すると膿が耳から出てきます(強い悪臭を放つ場合があります)が、痛みはありません。再燃が長引くとポリープと呼ばれる病変が突き出てきて、中耳から鼓膜にあいた穴を通って外耳道まで伸びてきます。感染が長引くと、耳小骨(中耳内で鼓膜と内耳をつなぎ、音を外耳から内耳へ伝える小さな骨)の一部が破壊され、伝音難聴(音が内耳の感覚器官に届かないことによる難聴)が生じることがあります。
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PROFESSOR TONY WRIGHT, INSTITUTE OF LARYNGOLOGY & OTOLOGY/SCIENCE PHOTO LIBRARY
慢性化膿性中耳炎では、中耳に真珠腫ができる場合もあります。真珠腫とは、白い皮膚のような物質でできた、がんではない(良性)病変です。真珠腫は骨を破壊し、他の深刻な合併症(内耳の炎症、顔面神経麻痺、脳感染症など)が発生する可能性を大幅に高めます。
診断
医師による評価
膿や皮膚のような物質が鼓膜の穴やくぼみにたまり、頻繁に耳から出てくる場合は、慢性化膿性中耳炎と診断されます。感染症を引き起こしている細菌を特定するために、医師は耳だれのサンプルを採取します。
真珠腫が疑われる場合は、CT検査やMRI検査が行われることがあります。持続する、または繰り返し生じる肉芽(治癒しつつある鼓膜表面にできる新しい組織が)がある場合は、生検を行って腫瘍がないかを調べることがあります。
治療
抗菌薬の点耳薬
ときに抗菌薬の内服薬
慢性化膿性中耳炎が再燃したときには、抗菌薬の点耳薬が処方されます。再燃がひどい場合は、抗菌薬の内服薬も出されます。穿孔がある場合は、処方された点耳薬を除き、耳を乾燥した状態に保つ必要があります。
通常、鼓膜の穴は鼓室形成術と呼ばれる手術で修復が可能です。耳小骨が損傷している場合は、同時に修復します。真珠腫は手術で切除する必要があります。そうしなければ、ポリープ、耳小骨や他の骨の損傷、感染の拡大などの重篤な合併症が発生する可能性があります。