粟粒結核は、生命を脅かすことのあるタイプの結核で、大量の結核菌が血流を介して全身に広がって起こります。
結核は、空気感染する細菌である結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされる感染症です。 通常、結核は肺の1カ所または数カ所を侵します。粟粒結核という名称は、肺内にできるおびただしい数の小さな病巣が、鳥の餌に含まれる小さな丸い粟(あわ)程度の大きさであることに由来します。
粟粒結核は、1つの臓器や複数の臓器を侵すこともあれば、全身に発生することもあります。肺、肝臓、骨髄に最もよくみられますが、髄膜(脳や脊髄を覆っている組織)や心膜(心臓の外側を覆っている2層の膜)など、どの臓器にも発生する可能性があります。
粟粒結核になりやすいのは以下のような人です。
4歳未満の小児
免疫機能が低下している人
高齢者
粟粒結核の症状
粟粒結核の症状は漠然としていて、特定しにくい場合があります。体重減少、発熱、悪寒、脱力、全身の不快感、呼吸困難などがみられます。
骨髄に感染が及ぶと、白血病を疑わせるような重度の貧血など、血液の異常が起こることがあります。
未確認の病巣から細菌が断続的に血流に放出される場合には、発熱と解熱を繰り返し、徐々に体重が減少して体力を消耗していきます。
粟粒結核の診断
感染している部位から採取したサンプルの観察と培養検査
可能なら、核酸増幅検査
ツベルクリン検査または結核の血液検査
胸部X線検査
粟粒結核の診断は、肺結核の診断と同様です。
感染している体液のサンプルを、顕微鏡で調べたり、検査室に送って細菌を増殖させる検査(培養検査)を行う場合があります。以下の体液がサンプルとして使用されます。
血液
腰椎穿刺で採取した髄液
尿
胸膜(肺を覆う2層の膜)の間から採取した体液
心膜(心臓を覆う2層の膜)の間から採取した体液
関節液
骨髄
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、特定の種類のサンプルで核酸増幅検査を行うことにより、ときに特定できることがあります。核酸増幅検査では、各微生物に固有の遺伝物質であるDNAまたはRNA(どちらも核酸の一種です)を探します。核酸増幅検査では、細菌のDNAまたはRNAの量を増やす処理を行って、DNAまたはRNAを特定しやすくします。
ツベルクリン検査か結核を検出する血液検査(インターフェロンガンマ遊離試験)を行います。
胸部X線検査では、粟粒結核の特徴である何千個もの小さな点がみられることがあります。また、体のどの部位が侵されているかに応じて、他の画像検査を行います。例えば、CT検査、超音波検査、MRI検査などが行われます。