咬み傷による手の感染症

執筆者:David R. Steinberg, MD, Perelman School of Medicine at the University of Pennsylvania
レビュー/改訂 2022年 4月
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人間による咬み傷に関連する手の感染症で最もよくみられるのは、誰かの口を殴ったときにできた拳のけがによるものです(英語ではclenched fist injuryやfight biteと呼ばれます)。動物に咬まれるケースも手の感染症の原因としてよくみられます。人間や動物に咬まれた結果、数種類の細菌によって傷口が汚染されることがあります。どのような咬み傷でも、潜在的には危険があり、重い感染症や重篤な合併症(腱の感染症や感染性関節炎など)を引き起こす可能性があります。

咬み傷が感染していると、痛み、腫れ、発赤、圧痛が起こります。

手の病気の概要も参照のこと。)

咬み傷による手の感染症の診断

  • 医師の診察

  • X線検査

  • 培養検査

医師は診察で観察した感染の起きた咬み傷を根拠に診断を下しますが、感染の発生や悪化の原因になる骨折、歯、異物を見つけるため、しばしばX線検査を行います。

感染症を引き起こしている細菌の種類を特定するために、傷の内部を綿棒でぬぐうか、傷から膿のサンプルを採取して、検査室で細菌の増殖(培養検査)を試みます。

咬み傷による手の感染症の治療

  • 傷の徹底的な洗浄

  • 抗菌薬

傷を受けた部分は徹底的に洗浄するべきです。通常、医師は外科的な手技を用いて、確実に傷の全体をきれいにします。その後、通常は傷口を開いたままにして排液させます。感染症が重度ではなく傷が深くない場合は、感染が広がるのを予防するために抗菌薬が経口投与されます。医師が関節の感染症(感染性関節炎)を疑う場合、関節の永久的な破壊を予防するために抗菌薬が静脈内投与されます。どの抗菌薬が効果的なのかは、患者が生活する地域でよくみられる細菌によって決まります。感染症が重い場合は、患者を入院させて抗菌薬を静脈内投与します。

知っていますか?

  • 咬み傷の感染症を予防するには、できるだけ早く傷を完全に洗浄して排液することが最も大切です。

患者は、傷を清潔に保ち腫れを最小限に抑えるために、包帯をつけてできるだけ手を上げ、理想としては頭より高く上げます。できるだけ日常生活に困らない位置で副子をつけて手が動かないように保ち、治癒を促すこともあります。

手の副子

手の副子は、傷が治癒する間、日常生活に困らないような位置で、手が動かないよう固定するために役立ちます。

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