ジェネリックのバイオ医薬品

(バイオ後続品、バイオシミラー)

執筆者:Daphne E. Smith Marsh, PharmD, BC-ADM, CDCES, University of Illinois at Chicago College of Pharmacy
レビュー/改訂 2020年 4月
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    例えば抗菌薬や血圧の薬などの従来の薬は、通常、有効成分(治療効果のある成分)が単一の独立した化学物質であるため、低分子製剤と呼ばれます。

    バイオ医薬品は、生物原料(ヒト、動物、微生物、または酵母)から作られる複合的な製剤です。バイオ医薬品には、病気の治療に用いるためのウイルス、遺伝子、血液ならびに生体組織、抗体、毒素もしくは抗毒素、ワクチン、および関連製品などがあります。これまでのところ、製造する際の要件が複雑であることや正確な成分を明らかにするのが難しいことが原因で、バイオ医薬品のジェネリックを開発することは不可能なままです。

    そこで米国食品医薬品局(FDA)は、ジェネリック医薬品としてではなくバイオシミラー(バイオ後続品)または互換医薬品として、承認を申請するよう製薬会社に求めています。バイオ後続品は、先行のバイオ医薬品と比べると、とてもよく似ています。バイオ後続品では、臨床的に不活性な成分のわずかな違いしか許されていません。互換医薬品ではさらに、最初に作られた先行医薬品と比べて便益とリスクが同じであることも要求されます。Zarxioはフィルグラスチム(がん患者の白血球数を維持するのに役立つ薬)のバイオ後続品です。これはバイオ後続品としてFDAに承認された最初の薬ですが、互換医薬品ではありません。このことは、医師がZarxioを処方した場合、処方した医師の許可なしでは、薬剤師がフィルグラスチムに変更する(置き換える)ことができないことを意味します。

    絶え間ない科学の進歩により、今後数年でジェネリックのバイオ医薬品の創薬が可能になるかもしれません。ジェネリックのバイオ医薬品が製薬会社、薬局、消費者にもたらす利点は、自由な代替調剤が可能になることと、病院への導入や医療保険プランの処方薬リストへの掲載をめぐって競走が起きるということです。赤血球数を増やすホルモン剤であるエポエチンのように、非常によく似た先行バイオ医薬品が複数あっても、ジェネリックのレベルで同等な医薬品が複数ある場合の恩恵をすべて享受することはできないのです。

    先発医薬品とジェネリック医薬品の概要も参照のこと。)

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