高血圧とはどのような病気ですか?
心臓は動くたびに、動脈を通して血液を押し出します。動脈とは、心臓から全身に血液を送っている血管のことです。血圧は、動脈の中での血液の圧力です。血圧がゼロになると、血液が血管を流れなくなり、その人は死んでしまいます。しかし、血圧が高すぎても、心臓に負担がかかって、動脈やほかの臓器が傷ついてしまいます。
高血圧は、手おくれになるまで症状が現れないことから、サイレントキラー(ものを言わない殺し屋)とよばれています。
高血圧は、ほかのほぼすべての病気よりも、たくさんの死亡や深刻な問題を引き起こしていますが、大半の合併症は正しい治療で予防できます。
運動をすることや塩分をとる量を少なくすること、体重を減らすこと、タバコをやめること、お酒を飲む量を少なくすることが、血圧を下げることに役立ちます。
ときには、2~3種類の血圧の飲み薬を服用する必要があります。
たとえ気分がよくても、薬の服用を続けることが重要です。
血圧はどのようにして測定しますか?
医師は、カフという器具を使って血圧を測ります。2つの数字が記録されます。たとえば、あなたの血圧が120/80だとしたら、その結果は「80の120」といいます。
最初の数字は、心臓が血液を押し出すときに動脈の中にかかる、最も高いときの圧力です。これを収縮期血圧といいます。
2つ目の数字は、心臓が血液を押し出し始める直前に、心臓の筋肉がゆるんだときに動脈の中にかかる、最も低いときの圧力です。これを拡張期血圧といいます。
血圧は、測るたびにまったく同じというわけではありません。1日を通して、日によっても、少しずつちがいます。ですが、ふつうは、測定値は5~10ポイントの範囲におさまります。
医師は高血圧をどのように定義していますか?
大人の場合、医師たちは血圧を次のように分けています:
正常:120/80未満
高い:収縮期が120~129かつ拡張期が80未満
1期高血圧:収縮期が130~139または拡張期が80~89
2期高血圧:収縮期が140以上または拡張期が90以上
高血圧の原因は何ですか?
高血圧はふつう、はっきりした原因なく、起こってしまうものです。こうした種類の高血圧は、家族の中で受け継がれることが多いです。45才以上の人や黒人では、ほかの人たちより多くみられます。この種類の高血圧になる危険性は、次のことによって高くなります:
年をとる
体重が重すぎるか肥満
毎日運動していない
ストレス
タバコを吸っている
塩分のとりすぎ
あまり多くはありませんが、特に次のような、ほかの医学的な問題が高血圧を引き起こすこともあります:
血圧を上げる薬や物質がたくさんあります。ほかに高血圧になる理由がなければ、そのような薬や物質の影響がだんだんなくなるにつれて、血圧は下がっていきます。血圧を上げる物質としては、次のものがよくあります:
アルコール
経口避妊薬
カフェイン
コルチコステロイド
フェニレフリンやプソイドエフェドリンなどの鼻づまりの薬
NSAID(イブプロフェンなどの抗炎症薬)
アンフェタミン類やコカインなどの覚醒剤
高血圧にはどのような症状がありますか?
医師はどのようにして、私が高血圧かどうかを判断しますか?
高血圧がないか調べるための検査
医師は、血圧を測るためのカフという器具を使って、血圧を3回以上測ることがあります。医師は聴診器や機械を使って血圧を測ることもあります。医師は腕か脚で血圧を測ります。
不安なときやリラックスしていないときに血圧を測ると、血圧の測定結果が高くなることがありますが、診察室では、このような感情になることがよくあります。医師は、正確な測定値が得られるように、あなたを落ち着かせ、気もちを楽にさせるためにしばらく座らせたり、測定をやり直すことをお願いすることがあります。ときには、あなたに1日か2日、自宅用の血圧計で血圧を測ってもらうこともあります。
高血圧がある場合の検査
高血圧がある場合、医師は次のことをします:
診察
目の検査
心電図検査:心臓を流れる電流を測って紙に記録する検査
血液検査と尿検査
医師は、ほかに高血圧のめずらしい原因がないか調べるために、ほかの検査もすることがあります。そうした検査は、特にあなたが若い場合や、ふつうの治療で血圧が下がらない場合によく行います。
医師は高血圧をどのように治療しますか?
高血圧はふつう、治すことができません。それでも、あなたの行動を変えて、薬を飲むことで、血圧のコントロールを助けることができます。血圧の目標値は、年齢とほかにある医学的な問題に応じて、変わってきます。
治療を始めたら、血圧をたびたび測って、適切な水準にあるのを確認することが大切です。医師はまた、あなたに自宅で血圧を測って記録をつけ、次の診察で見せるように指示することもあります。血圧を下げるために、薬を追加したり、変えたりすることが必要になる場合もあります。
行動の変化
高血圧の人はだれでも、生活スタイルを変える必要があります。医師はふつう、DASH(高血圧を予防するための食事法)という食事療法をあなたに勧めます。この食事療法では、果物と野菜をたくさん食べて、脂肪分の少ない乳製品を摂取するようにします。とり肉、魚、全粒穀物、ナッツ類は食べてもよいですが、赤身肉、お菓子、塩分はあまりとらないようにします。医師はあなたに次のことも勧めることがあります:
運動を始めたり、運動する回数を増やしたりする
太っている場合は体重を減らす
お酒を飲む量を減らす
タバコを吸うのをやめる
ストレスに対処するためにリラックスする方法を学ぶ
薬
医師は血圧の薬を処方することが多いです。それらの薬はそれぞれ、ちがう方法で血圧を下げます。血圧を目標の水準まで下げる薬のちょうどよい量と組合せを見つけるには、時間がかかることがときどきあります。
ほとんどの人は、生きているかぎり薬を飲む必要があります。血圧を測って血圧が低い水準で保たれているのを確認することが、あなたと医師にとってとても大切です。
血圧の薬で気分が悪くなった場合は、いつでも医師に相談してください医師は、あなたの気分が楽になるように、薬の飲む量や種類を変えることがあります。