慢性静脈不全症と静脈炎後症候群とはどのような病気ですか？
慢性静脈不全症は、脚の静脈が傷ついて、血液が正常に流れなくなった状態です。
静脈炎とは、静脈の炎症のことです。静脈の中にできる血栓（血のかたまり）が原因で起きることが多いです。静脈炎後症候群は、静脈炎を起こした後に起こる問題です。
慢性静脈不全症になると、痛くなったり、腫れたり、発疹や脚にただれができたり、脚の見た目が変わったりすることがあります。
医師は超音波検査をして、脚の静脈の血液の流れを調べることにより、慢性静脈不全症があるかどうかを判断します。
慢性静脈不全症を治療するには、脚を上げたままにし、弾性ストッキングをはいて、皮膚にただれがあれば注意して治療します。
慢性静脈不全症の原因は何ですか？
慢性静脈不全症のおもな原因は：
脚に血栓ができる病気（深部静脈血栓症）です。
静脈に血栓ができると、静脈の中で傷あとができたり、弁の問題が起きたりすることがあります。弁は、一方通行の門のように働く2枚のふたのような組織です。それらが心臓に向けて一方向に血液を流します。弁が傷つくと、脚に血液がたまります。静脈に血栓ができて弁が壊れると、静脈炎後症候群という脚の病気が起こることがあります。
静脈の一方向弁
一方向だけに開く弁は、互いに端が合わさる2枚のふた（弁尖または弁葉）で構成されています。弁は静脈の血液が心臓へ戻る手助けをします。血液が心臓へ向かって流れると、ふたが両開きのドアのように押し開かれます（左図）。重力や筋肉の収縮によって血液が引き戻されたり、血液が静脈にたまり始めたりすると、ふたが直ちに押されて閉じ、それにより血液の逆流が防がれます（右図）。 |
次の場合、あなたは慢性静脈不全症になる可能性がほかの人より高いです：
脚にけがをした場合
あなたが高齢の場合
体重がとても重すぎる場合
慢性静脈不全症にはどのような症状がありますか？
次のような症状があります：
脚が腫れる（ふつうは何時間か横になるとよくなります）
静脈瘤（脚の静脈が腫れて、皮膚の下にふくらみができることが多いです）
足首の内側の皮膚がうろこのようになって、かゆくなる（皮膚が赤茶色になることがあります）
Images provided by Thomas Habif, MD.
重い静脈不全症になると：
膝から下の脚が異常に大きくなることがあります。
皮膚に潰瘍（ただれ）ができて、十分に治らないことがあります。
医師はどのようにして、私が慢性静脈不全症かどうかを判断しますか？
医師はふつう、あなたの症状と診察の結果から、あなたが慢性静脈不全症かどうかが分かります。
ときには、医師は脚の超音波検査を行います。
医師は慢性静脈不全症をどのように治療しますか？
次のような治療法があります：
脚を休ませて、心臓より高い位置に上げる―これを1回30分以上、1日に3回以上行います。
のび縮みする包帯や特別なストッキングを身につけたり、空気が入った袋で脚をくり返しもんでくれる機械を使って、脚を圧迫する。
皮膚のただれがあれば、ていねいに手入れする
医師は、皮膚のただれを治りやすくする薬が中に入った包帯を使うことがあります。
慢性静脈不全症はどうすれば予防できますか？
次のように、あなたの生活習慣を変えることが役に立つことがあります：
体重を減らす
毎日体を動かす
塩（ナトリウム）を食べる量を減らす
深部静脈血栓症になったことがある場合は、静脈炎後症候群を予防するために、医師が血液をサラサラにする薬を処方することがあります。
