不安定狭心症とはどのような病気ですか?
狭心症とは、心臓に十分な酸素が送られていないときに起き、胸に痛み、不快感、圧迫感などが現れる病気です。酸素の不足は、心臓につながる動脈が狭くなったり、ふさがれたりすることで起こります(冠動脈疾患)。狭心症はふつう、たとえば階段を上がったり、坂を歩いて登ったりするなど、体を激しく動かしたときに起こります。そして、休むと数分で治まります。ふつうは、同じくらいの運動をするたびに狭心症が起きます。
不安定狭心症は、次のような場合に起こる狭心症です:
ふだんと比べて、それほど体を動かしたわけではないとき
まったく体を動かしていないとき
不安定狭心症になると:
胸が痛くなったり、胸に圧迫感がしたりします。
医師は血液検査と心電図検査をします。
医師は薬を使うとともに、心臓の問題がある部分に、より多くの血液が届くようにする処置を行います。
不安定狭心症の原因は何ですか?
心臓は、血液を全身に送り出している、筋肉でできた臓器です。すべての筋肉と同じように、心臓もまた、血液がたえず供給されていないと、働くことができません。心臓を通って送り出される血液では、心臓の筋肉に栄養を送り届けることができません。そのかわりに、心臓の筋肉には、別の動脈から栄養が送られています。それらの動脈を冠動脈といいます。
不安定狭心症は、冠動脈の1つが血栓で一時的にふさがれたときに起こります。
血栓が自然になくなれば、症状は治まります。血栓がすぐになくならないと、心臓発作を起こします。心臓発作が起きると、その部分の心臓の筋肉が十分な血液を受けられずに、死んでしまいます。不安定狭心症では、影響を受ける筋肉が死にはしません。しかし、不安定狭心症は心臓発作の危険な徴候です。
冠動脈の中の血栓はふつう、動脈硬化がある場合にできます:
動脈硬化は、動脈が硬くなる現象としてよく知られています。
動脈硬化は、コレステロールなど、脂肪をふくむ物質が動脈の中にゆっくりたまって起こります。
このたまったものをアテロームやプラークといいます。
プラークは突然やぶれることがあり、動脈をふさぐ血栓の原因になります。
不安定狭心症では、心臓のリズムにも異常が起こり、鼓動が速くなりすぎたり、遅くなりすぎたりすることがあります。まれに、心臓が完全に止まって(心停止)、死んでしまうこともあります。
不安定狭心症にはどのような症状がありますか?
不安定狭心症の症状は狭心症と似ていますが、ふつうは痛みがもっと強く、長く続き、休んでもよくなりません。
胸の中央が痛くなることがあります。
痛みが背中やあご、左腕に広がることがあります。
あまり多くはないですが、痛みが右腕に広がることもあります。
痛みがこれらの場所の1カ所または複数の場所に起こっても、胸の痛みはまったくない場合もあります。
汗をかいたり、緊張したりすることもあります。
唇や手、足が少し青くなることもあります。
医師はどのようにして、私が不安定狭心症かどうかを判断しますか?
医師は症状から診断して、さらに次のような検査をします:
心電図検査:心臓の電気的な活動を測定する検査
心臓に問題があることを意味する特定の物質がないか調べるための血液検査
医師は不安定狭心症をどのように治療しますか?
あなたは入院することになります。医師は次のことをします:
心臓のリズムと血圧をコントロールする
胸の痛みを軽くするために、舌の下と静脈からニトログリセリンを使用する
血栓ができるのを予防するための薬を出す
心臓の負担を軽くするための薬を出す
ときには、ふさがった動脈を開通させるための手術(血管形成術)をする
血管形成術では:
医師が細くてやわらかいチューブ(カテーテル)を、ふともも(鼠径部)か手首にある動脈から入れます。
このカテーテルを心臓まで通して、冠動脈の1つまで進めます。
カテーテルの先に付いている小さな風船をふくらませます。
この風船によって、つまっていた部分が押し広げられます。
医師はそこで、針金のあみでできたチューブ(ステント)を、カテーテルの先からつまっていた部分までずらし、そこで外します。
この針金のあみでできたチューブのおかげで、つまっていた部分が開いた状態に保たれます。
ときには、血管形成術を行えないこともあります。医師はバイパス術(冠動脈バイパス移植術や冠動脈バイパス術ともいいます)を勧めることがあります。
バイパス術では:
医師が体のほかの部分から、健康な動脈や静脈をとり出します。
その動脈や静脈の片方の端を、大動脈(心臓から全身に血液を送り出している太い動脈)に縫い合わせます。
もう一方の端を、ふさがっている動脈の、ふさがったところより先の部分に縫い合わせます。
すると血液が、ふさがった部分ではなく、この新しい道すじを流れるようになります。
不安定狭心症の原因の治療
不安定狭心症を引き起こした問題を治療するために、医師はふつう次の薬を使います:
コレステロールを減らすための薬
高血圧を治療するための薬
医師はまた、タバコを吸う、運動をしない、不健康な食習慣など、心臓を傷つける行動をあなたに改めさせます。
不安定狭心症はどうすれば予防できますか?
心臓を傷つける行動を改める
新鮮な果物や野菜といった食物繊維の多い食品など、健康的な食べものを食べる
肉や乳製品、加工食品(冷凍ピザや電子レンジで調理する食品など)からとる脂肪分の量を減らす:どのくらいの量、またどんな種類の脂肪分をとればよいか、医師に相談してください
必要なら体重を減らす
ダンベルで運動をしたり、歩いたりして、体をよく動かす
タバコや薬物の使用をやめる:やめるのが難しいこともありますので、人の助けを借りる方法について、医師やカウンセラーに相談してください