陣痛とは何ですか?
陣痛は出産の第1段階です。陣痛中には、赤ちゃんを押し出しすために子宮の筋肉が何度もしぼり出すような動きをします。このしぼり出すような動きは、収縮と呼ばれています。収縮は自然に止まり、また始まります。収縮をコントロールすることはできません。時間がたつにつれて、収縮も強くなります。
分娩は出産の第2段階で、このときに赤ちゃんが産道を通って生まれてきます。
ふつうは、出産予定日の2週間前から2週間後までの間に陣痛が始まります。
陣痛の始まりはふつう、背部痛や月経痛のように感じ、その痛みがだんだんと強くなり、間隔が短くなっていきます。
陣痛はふつう、初めての妊娠では12~18時間続き、その後の妊娠では半分くらいになります。
陣痛の間は、あなたに合併症が起こっていないか、医師や看護師が頻繁に確かめます。
あなたが陣痛の痛みをのりこえるために、薬やリラックスできる特別な方法が役立ちます。
次のうち1つが起こったら、病院(または出産センター)に行くときです。
破水した
陣痛が30秒以上続き、間隔が6分より短い
陣痛の間には何が起こりますか?
子宮頸部は子宮の下側の部分で、腟とつながっています。子宮頸部には、妊娠中はしっかりと閉じたままの小さな口があります。陣痛の間に、子宮の収縮によって子宮頸部がだんだんと引っぱられて開き、赤ちゃんが出てくるのに十分な広さになります。
陣痛には2つの段階があります。
初めの陣痛
活動的な陣痛
初めの陣痛中では:
子宮頸部が薄くなり始め、およそ2~5センチメートルまで開きます。
陣痛が来たりおさまったりし、だんだんと強くなり、間隔がそろってきます。
痛みはそれほどひどくありません。
活動的な陣痛中では:
子宮頸部がおよそ10センチメートルまで開ききり、完全に薄くなります。
赤ちゃんが降りてきます(骨盤のほうまで下がり、産道に入る準備ができます)。
あなたは、いきんで赤ちゃんを押し出さなければならないように感じ始めます。
痛みがもっと強くなります。
羊膜の袋が破れて羊水が腟から出てくるのが、破水です。これは陣痛が始まる前や陣痛中に起こります。
子宮頸部が完全に開き、破水するまで赤ちゃんを産むことはできません。
陣痛が始まったことは、どのようにして分かりますか?
次のものが、陣痛のおもな徴候です。
月経痛のように感じる、一定の間隔で起こる子宮の収縮
背部痛
陣痛がもうすぐ始まるとき、子宮の収縮や背部痛が起こる前にみられる徴候には次のものがあります:
おしるし(陣痛の初めに腟から少しの血と粘液が出てくる)
破水
破水したら、医師か助産師にすぐに連絡してください。たいていは24時間以内に陣痛が始まります。しかし、陣痛が数時間以内に始まらなければ、医師や助産師が薬を使って陣痛を起こすことがあります。
もし出産予定日の6週間以上前にあなたが破水したら、医師は陣痛を止める薬をあなたに与えることがあります。こうすると、赤ちゃんは生まれてくる前にもう少し成長できます。
病院や出産センターにはいつ行けばよいですか?
次のうち1つが起こったら、病院や出産センターに行きます:
破水
陣痛が30秒以上続き、間隔が6分より短い
医師や助産師は、あなたに本当に陣痛が起こっているかどうか確かめます。予定日が近づくと、陣痛のように感じるけれどもそうではない痛みがある女の人がいます。まだあなたに陣痛が始まっていなければ、家に帰ります。
陣痛が起こっている場合には、医師は次のことをします:
腟をチェックして破水したかどうかを調べ、破水していれば羊水の色を調べる
子宮頸部にふれ、子宮頸部がどのくらい開いているかを調べる
おなかをさわって、赤ちゃんの向きを確かめる
陣痛のときにあなたに薬や水分を与えるために、腕の静脈にチューブをつなげる
あなたが前に赤ちゃんを産んだことがあり、その出産が速く進んだ(6時間未満であった)場合には、陣痛が始まったと思ったらすぐに医師に知らせるようにしましょう。分娩にかかる時間はふつうはその前の分娩よりも短くなるため、赤ちゃんが早く生まれてくる可能性があります。
陣痛中に医師はどのように赤ちゃんをチェックしますか?
陣痛中、医師はおもに次のことから赤ちゃんの様子が分かります:
赤ちゃんの心拍数
医師は次のものを使って赤ちゃんの心拍数を調べます:
聴診器
あなたのおなかにつけた超音波を出す機械
赤ちゃんの心拍数を記録し続けるために腟の中に入れた分娩監視装置
もし赤ちゃんの心拍が速すぎたり、遅すぎたりすると、赤ちゃんに合併症が起こっているかもしれません。医師は赤ちゃんの超音波検査をすることがあります。
医師は陣痛の痛みをどのように治療しますか?
陣痛の痛みの程度はさまざまです。陣痛のときにほかの人よりももっと痛み止めを必要とする人もいます。妊娠中にマタニティークラスに参加して、だれかに出産につきそってもらうことで、出産のときに安心し、必要な痛み止めを少なくするのに役立つことがあります。
妊娠中にあなたはどのような痛み止めを使うかについて、医師や助産師と相談できます。陣痛中の痛み止めの薬には次のものがあります:
モルヒネやフェンタニルなどの静脈から与えるオピオイドという種類の痛み止めは、使うと楽にすごせますが、使うタイミングが赤ちゃんが産まれてくるときに近すぎると、赤ちゃんの呼吸がゆっくりになってしまうことがあります。
硬膜外ブロックは、麻酔薬(局所麻酔薬、痛み止めの薬)を腰に注射して、脊髄の神経を麻痺させるものです。
神経ブロックは、医師が腟の中に麻酔薬を注射して、主要な神経からの痛みの信号が伝わらないようにするものです。
局所麻酔は、赤ちゃんが生まれてくる直前に腟の出口あたりを麻痺させるために注射する薬です。
自然分娩の場合には、薬のかわりにリラックスする方法と呼吸法によって陣痛をコントロールし、必要な痛み止めが少なくなるようにします。自然分娩をする女の人の中には、痛み止めの薬をまったく使わない人もいます。その準備のために、あなたと付き添う人はふつう数週間にわたってマタニティークラスに参加し、陣痛と、分娩中の呼吸法やリラックスする方法について学びます。